埼玉新聞

 

埼玉は医療の過疎地域…川越で救急医療の在り方語る講演会 救急車が動けないと「救える命、救えない」

  • 「地域医療を維持させるには2次救急が重要」と訴える川越救急クリニック院長の上原淳氏=ウエスタ川越会議室

 日本道経会埼玉支部主催の医療講演会が、川越市新宿町のウエスタ川越で行われ、川越救急クリニック院長の上原淳氏が「逆転人生~私は救急車を断らない」と題して、救急医療の在り方や現場の実状を語った。

 講演会には近隣の市民や道経会関係者ら約50人が参加。元埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター医局長の上原氏が、全国初の個人経営による救急病院を設立したのかを語った。

 2001年に埼玉医大で勤務することになり、埼玉での地域医療を考えるようになった。上原氏は「埼玉県は人口10万人当たりの医師数が全国最少の医療過疎地域」と訴える。「救急車が受け入れてくれる病院を探せず、30分以上も動けないのでは救える命も救えない」と、救急医療の現状を嘆く。

 3次救急を担うべき大学病院が、初期や2次救急を受けざるを得ない現実を見て2010年、46歳で川越救急クリニック(同市古谷上1116の1)を立ち上げた。ほぼ毎日午後4時から同10時まで診療するほか、24時間体制で救急対応し、年間1万2千人の救急外来を受け入れているという。

 上原氏は2次救急の取り組みを全国に広げていきたいと、日本救急クリニック協会を設立。「地域の救急医療を埼玉がリードし、そのノウハウを各地の医師に伝えていきたい」と強調した。

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