埼玉新聞

 

【東京ウオッチ】女性のヘアスタイルから見つめた多様性の文化―ナイジェリアの写真家オジェイケレさん個展 いまのTokyoをつかむイベント情報(9日~17日)

  •  J.D.オカイ・オジェイケレさんが撮影したナイジェリアの女性の髪形(提供写真)

     J.D.オカイ・オジェイケレさんが撮影したナイジェリアの女性の髪形(提供写真)

  •  J.D.オカイ・オジェイケレさんが撮影したヘッドドレスを身に着けたナイジェリアの女性(提供写真)

     J.D.オカイ・オジェイケレさんが撮影したヘッドドレスを身に着けたナイジェリアの女性(提供写真)

  •  ウェイド・ガイトンさんの作品。Wade Guyton, Untitled(2022).(C)Wade Guyton.Courtesy Matthew Marks Gallery(提供写真)

     ウェイド・ガイトンさんの作品。Wade Guyton, Untitled(2022).(C)Wade Guyton.Courtesy Matthew Marks Gallery(提供写真)

  •  ウェイド・ガイトンさんの作品。Wade Guyton,Untitled(2022).(C)Wade Guyton.Courtesy Matthew Marks Gallery(提供写真)

     ウェイド・ガイトンさんの作品。Wade Guyton,Untitled(2022).(C)Wade Guyton.Courtesy Matthew Marks Gallery(提供写真)

  •  「カルティエ」のアイコンジュエリー「トリニティ」とそれを身に着けた有名人らの写真((C)Cartier)(提供写真)

     「カルティエ」のアイコンジュエリー「トリニティ」とそれを身に着けた有名人らの写真((C)Cartier)(提供写真)

  •  J.D.オカイ・オジェイケレさんが撮影したナイジェリアの女性の髪形(提供写真)
  •  J.D.オカイ・オジェイケレさんが撮影したヘッドドレスを身に着けたナイジェリアの女性(提供写真)
  •  ウェイド・ガイトンさんの作品。Wade Guyton, Untitled(2022).(C)Wade Guyton.Courtesy Matthew Marks Gallery(提供写真)
  •  ウェイド・ガイトンさんの作品。Wade Guyton,Untitled(2022).(C)Wade Guyton.Courtesy Matthew Marks Gallery(提供写真)
  •  「カルティエ」のアイコンジュエリー「トリニティ」とそれを身に着けた有名人らの写真((C)Cartier)(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【9日(土)】 

 ▽「J.D.オカイ・オジェイケレ SCULPTURES FOR A DAY」(~12月15日、入場無料、港区・アニエスベー ギャラリー ブティック)

 ナイジェリアの写真家、J.D.オカイ・オジェイケレさん(1930~2014年)が同国の女性たちの多様なヘアスタイルを撮影した作品を紹介する写真展が、青山で開催されている。オジェイケレさんの日本での初個展となる。

 20歳の時にカメラを買い、写真を撮り始めた。その後、テレビ局のカメラマンとして働きながら、ナイジェリアのカルチャーを記録する写真の撮影に着手する。

 1968年から女性たちの伝統的な髪形を系統立てて千枚以上記録した「ヘアスタイル」と、頭部に着ける衣装をテーマにした「ヘッドドレス」の二つのシリーズから24点を展示。成人した、また結婚や割礼の儀式を控えた女性のさまざまな髪形を紹介している。

 「ヘアスタイル」からの作品は、街角やオフィス、パーティーなどの日常的な場所で、後ろ姿や横顔、正面から頭部を写している。幾何学的なデザインや形状を彫刻的に捉えた写真は人類学、民俗学的な価値を包括しており、近年高く評価されるようになった。

 ギャラリーディレクターの古宇田リヴォー朱美さんは「髪形によりそれぞれの女性が置かれた立場が分かる。メディアに属した経験から得たであろう客観的な視点で社会構造を映し出した貴重な資料であると同時に、芸術としても高く昇華された作品だ」と言う。

 これらシリーズの制作背景には、60年にナイジェリアが英国から独立した影響、また50年代に欧州から大量輸入されたウィッグの流行などがある。「欧州からの解放によってもたらされた社会、文化的変化と、黒人としての価値観を守ろうとする作家の意識を感じてもらいたい」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【9日(土)】 

 ▽「ウェイド・ガイトン個展『THIRTEEN PAINTINGS』」(~25年3月16日、入場無料、渋谷区・エスパス ルイ・ヴィトン東京)

 米国のアーティスト、ウェイド・ガイトンさんの個展が、表参道で開催されている。

 デジタル技術を組み合わせた印刷方法により、伝統的な絵画の表現を実践した作品で知られる。その創作は写真や彫刻、映像、書籍、ドローイングなど多岐にわたる。

 大型インクジェットプリンターにキャンバスを半分に折って通し、印刷を重ねるプロセスで作られた作品は、絵画にも写真にも見える。ガイトンさんは「正式な絵画制作の教育を受けていないため、プリンターが筆のような役割を果たしている。自分の作品は写真と絵画の境界線上にあると思う」と話す。

 本展では、2022年に制作された13点の大判絵画からなる「Untitled」を初公開した。題材は、アトリエの風景や床に置かれたキャンバス、ビットマップデータから偶然にしたたり落ちたインクのイメージなど。過去作をプリンターで拡大して作られた抽象的な表現も見られる。

 「ニューヨーク・タイムズ」のウェブサイトのスクリーンショットに絵画のイメージを重ね合わせた作品も。「現代ではデジタルでニュースを追いかけるが、5分後には消えている。情報が大量に流れていく状況を疑問に思い、ウェブのニュースを絵画のように固定しようと試みた」と言う。「日ごろ活動しているアトリエも、自分の創造を世の中に発信するプラットフォームだと思う。そんなイメージも重ねた」

 デジタル時代における新しい絵画制作の挑戦は世界的に注目されている。「東京の風景が窓に広がる会場で、絵画と絵画の間にある外の景色も作品の一部として体験してほしい」と語った。

 ▽「“TRINITY 100”ポップアップ」(~11月17日、港区、入場無料)

 フランスの高級宝飾メゾン「カルティエ」のアイコンジュエリー「トリニティ」の誕生100周年を祝い、表参道交差点でポップアップが開催されている。

 もともと愛情、忠誠、友情を意味したピンクゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドの輪が緻密に重なったデザインのリングなどで知られる。

 3連リングをモチーフにした屋外の巨大なモニュメントが目を引く。会場内では、トリニティとそれを身に着けた歴代の有名人らの写真やデジタル画像を展開。もう一つの部屋では、壁面に過去の作品から最新デザインまでを時系列で展示し、100年間の創造の進化を紹介している。

 1930年代にトリニティを着用し、人気の火付け役となったといわれる詩人ジャン・コクトーのストーリーに合わせ、リングが象徴する多様な愛の形をイメージした空間も。普遍性を表現し続けるアイコンの神髄に触れられる機会となるだろう。

 ▽「フランス読書の秋2024」(新宿区・東京日仏学院、事前予約制)

 フランスの雰囲気を味わえるブックフェアが、市谷で行われる。

 会場では、フランス人落語家シリル・コピーニさんが古典落語を実演し、仏出版業界誌リーブル・エブドのコラムニスト、ショーン・ローズさんがフランス文学の最新のトレンドを紹介する。絵本作家ジョエル・ジョリヴェさんによる家族向けの朗読会も。読書の秋を親子や仲間と満喫したい。

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