埼玉県内の倒産、10月は27件 17カ月ぶりに前年同月を下回る 年末に向け「黒字倒産も現実味」
東京商工リサーチ埼玉支店が6日発表した2024年10月の県内企業倒産状況(負債総額1千万円以上)は、前年同月比2件(6・89%)減の27件、負債総額は同10億800万円(47・59%)減の11億1000万円。23年5月以来17カ月ぶりに前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産はなかった。倒産企業1社当たりの平均負債額は4111万円(前年同月は7303万円)で比較的小口倒産が多かった。倒産件数は前年同月を下回ったが、24年1月以降10カ月の累積倒産件数は、23年の272件に対し345件に上るなど増加傾向が鮮明だった。
業種別では、建設業は前年同月と横ばいながらも8件(構成比29・6%)で最多。次いで、サービス業ほかが7件(同25・9%)、製造業、卸売業、小売業がそれぞれ3件(同11・1%)で続いた。分類可能な主要10産業中、2産業(サービス業ほか、卸売業)で増加した。
負債額の規模別では1千万円以上5千万円未満が18件(同66・7%)で最も多く、5千万円以上1億円未満が7件(同25・9%)、1億円以上5億円未満が2件(同7・4%)で続いた。5億円以上はなかった。
要因別では販売不振が20件(同74・1%)となり、既往のしわ寄せ、売掛金等回収難を合わせた「不況型倒産」は23件(同85・2%)で大半を占めた。
業歴別では2年以上10年未満が12件(同44・4%)で最も多く、10年以上20年未満が6件(同22・2%)、20年以上30年未満が5件(同18・5%)で続いた。
同支店では「金融機関は資金支援から事業再生に軸足を移している。企業も自律的に将来を見いだす抜本的な改善策を打ち出せないと、金融支援を受けることは難しくなる」と分析。年末に向けて企業の資金需要が活発になることから、「業績回復が遅れた企業に加え、売上増に新たな資金調達が追い付かない企業の黒字倒産が現実味を帯びてくるだろう」と見通した。