埼玉新聞

 

【わが師円楽 三遊亭楽生#1】なかなか会えない憧れの人 楽太郎に弟子入り志願

  •  三遊亭楽生

     三遊亭楽生

  • 第1回

    第1回

  •  三遊亭楽生
  • 第1回

 六代目三遊亭円楽の総領弟子で三遊亭楽生と申します。「笑点」でおなじみの春風亭一之輔さんとは埼玉県立春日部高校の同級生。彼が落語研究会をやりたいと言った時、当時生徒会長だったワタクシも予算編成に関わっていた、いや、責任者です。ということは、彼の成功には少なからずワタクシも関わっている…はずです。

 実はワタクシ、落語家になろうと思ってこの世界に入ったわけではないんです。楽太郎(当時)に憧れて、その憧れの人がたまたま落語家だったのです。

 大学受験に失敗し、それなら師匠の弟子になろう。でもどうしたら? 図書館で調べると、出待ちをして弟子にしてくださいと言い、何度断られてもめげずに言い続けたという人がいた。

 これだ! しかし師匠の予定が分からない。事務所に電話しまして「スケジュールを教えてください!」。うら若き楽生19歳、最初の行動です。

 「…教えられません」。そりゃそうだ。ご用件は?となりまして、弟子入りしたいと伝えると、では師匠に伝えますとなりました。ところが1週間しても音沙汰がない。

 もう一度電話をかけると履歴書を送ってくださいとなり、やっぱり1週間音沙汰なし。また電話をすると、4月10日に両国寄席に出演します、楽屋を訪ねてくださいと。少しずつ師匠に近づいてきました。今思うと、やる気を試していたのかもしれませんね。

 1997年4月10日。師匠に初めてお会いした日です。落語家としてのスタートであり、2022年9月30日までたくさんのことを教えていただくことになる大切な日を迎えることになります。

  ×   ×

 師匠円楽が亡くなり、はや2年。この世界にいられるのはただただ師匠のおかげです。師匠に教わったことを少しずつ書いてまいりたいと存じます。

【略歴】さんゆうてい・らくしょう 1977年さいたま市生まれ。97年三遊亭楽太郎(後の六代目円楽)に入門し、楽花生を名乗る。2008年楽生と改め真打ちに昇進。毎月1回、人形町・日本橋社会教育会館で独演会を開催している。ラジオ日本「SWEET!! Friday Edition」(金曜午前9時~)に出演中。

ツイート シェア シェア