<参院選>埼玉選挙区、現職3氏軸に混戦か 与党が過半数維持か、野党が阻止するか 野党共闘の成否も注目
今年夏の第26回参院選は昨年10月の衆院選後、初の大型選挙となる。自民、公明の与党が過半数を維持して岸田文雄首相が本格政権を築くことができるか。立憲民主など野党が阻止できるかが、最大の焦点。衆院選では効果が限定的だった野党共闘の成否も注目される。公職選挙法改正により、埼玉選挙区は前回(2019年)と同じく、改選定数は1増の4となる。自民、公明、無所属の現職3氏のほか、共産党とNHK党、諸派の3氏が既に出馬を表明。立民、日本維新も候補者擁立を明言しており、4議席を巡る争いは混戦が予想される。
過去3回の参院選埼玉選挙区をみると、自民、公明を中心とした議席争いが続いている。前回は自公が議席を守り、立民が初の議席を獲得。共産は21年ぶりに議席を得た。前々回(16年)は自民が議席を守り、旧民進で現知事の大野元裕氏が再選を果たし、公明が議席を守った。
今回、自民は現職関口昌一氏(68)の5選を目指す。県連は昨年12月、党が1次公認候補とする関口氏に加え、2人目の擁立へ向け、候補予定者を公募。ところが、根回しが不十分で、党本部が反対し、公明も難色を示したことから一転して公募を取りやめた。候補を関口氏に一本化することを確認し、連立与党を組む公明との与党2議席の確実な当選を目指す。県連会長の柴山昌彦衆院議員は「与党で2議席を確保し、さらに党勢拡大へ向けた取り組みを必死でやる」と述べた。
公明は党参院会長で県本部代表の西田実仁氏(59)の4選に力を注ぐ。党本部は昨年12月、西田氏ら14人の公認を決定。全国県代表協議会でも参院選へ向け、総力で臨むことを確認した。西田氏自身は前回(16年)、64万票余りを集めたものの、県本部幹事長の塩野正行県議は「選挙の構図が見えず、強い危機感を持っている。全県で勝利へ向け総力を挙げ、一瀉千里(いっしゃせんり)に突き進む」と話す。
前知事で無所属の上田清司氏(73)も再選へ意欲を見せる。上田氏は19年に知事退任後、大野氏の知事選出馬に伴う補選で初当選。昨年の衆院選時に模索した中道保守の新党結成への意欲は衰えず、「地方行政に責任を持ってきた首長の任期1期を、国会議員の任期1期と数えるような内規を新しい党では考えたい」と力を込める。
共産は、昨年の衆院選に比例北関東ブロックで出馬した元衆院議員の梅村早江子氏(57)の擁立を決めた。党県委員会の荻原初男委員長は「衆院選の結果を土台にさらに政権を追い詰める」とし、前回参院選に続き議席奪取を目指す。
立民は候補者擁立を明言。女性県議を推す声もあるが、県連幹事長の田並尚明県議は「まだ誰にするか決まっていない」と人選中としている。
維新県連幹事長の津田賢伯上尾市議は「必ず候補者を擁立する」とし、「衆院選で得た比例票では参院選での議席獲得には足りない。それを補うインパクトある人材を検討する」と話した。
国民県連代表の鈴木義弘衆院議員は「対応をできるだけ早い時期にまとめたい」と、擁立するかどうかも含め検討中。社民党は候補者を模索中で、県連合の船橋延嘉副代表は「候補者の数をそろえて、しっかりと戦いたい」とした。
「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は人材派遣会社社長の新人河合悠祐氏(40)の擁立を発表。諸派の幸福実現党は同党員の新人湊侑子氏(38)の擁立を決めた。れいわ新選組も候補者を擁立する方針を示している。