ふじみ野市に建設が進められている高層マンション計画で、市は開発業者から許可申請前に提出された図面や計画概要の非開示を取り消した。市の処分を不服として住民が審査請求し、市情報公開・個人情報保護審査会が昨年末、「書面全部を開示すべき」と答申していた。

　市などによると、マンションは同市大原のイトーヨーカドー跡地に、15階建て集合住宅（高さ約45メートル）3棟（戸数計708戸）などの建設を計画。2020年7月に業者が開発許可を申請し、市が翌月に許可、24年11月までの予定で工事が進められている。

　隣接地に住む無職藤井亮助さん（70）は、許可申請前に業者が市に提出した計画地の図面や計画概要を記した書面の情報公開を請求。市に20年10月、「生産活動や営業・販売活動の計画、方針に関するもので、法人などに不利益に当たる」と非開示を通知されると、同12月に「知る権利を侵害している」と審査請求していた。

　市から諮問を受けた市情報公開・個人情報保護審査会（会長、本山賢太郎弁護士）は昨年12月、「図面や記載事項などの情報が公開されることにより、法人などに明らかな不利益を与える情報とは言えない」と答申し、市は昨年末、非開示処分の取り消しを裁決した。