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【ぷらっとTOKYO】天文学研究の歴史を学ぶ 三鷹市の国立天文台

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 日本の天文学研究の拠点「国立天文台」(東京都三鷹市)が、前身の「東京天文台」(現在の港区麻布)から1924年に三鷹に移転して100周年を迎えた。研究に貢献してきた天文台の大規模な観測施設や資料館を見学し、周辺の街を歩いた。

 JR中央線武蔵境駅からバスで約15分。天文台のキャンパスに設けられた見学コースには、国の登録有形文化財に指定された建物が点在している。天文台に現存する最古の建物「第一赤道儀室」は、古びたドームとセピア色の外壁が印象的で、歴史の重みを感じさせる。

 第一赤道儀室と「天文台歴史館(大赤道儀室)」を結ぶ直線通路では「太陽系ウォーク」が楽しめる。太陽系の距離を140億分の1に縮めると、太陽から土星までは100メートル。太陽から各惑星までの距離やそれぞれの大きさが通路沿いのパネルで体感でき、木星や土星の遠さに驚いた。

 天文台歴史館に入ると98年まで稼働していた「65センチ屈折望遠鏡」の威容に圧倒される。天文台によると、65センチの口径は屈折望遠鏡では日本最大。直径14・5メートルの木製ドーム部分は、造船技師の協力を得て建造されたという。「歴史的な観測施設に触れながらコースを散策して、宇宙に思いをはせてほしい」と天文台職員の石川直美さん。

 天文台を出て南へしばらく歩くと、閑静な住宅地の間を野川が流れる。立川市から続く約30キロの崖の連なり「国分寺崖線」の湧き水を集めながら流れる、多摩川の支流だ。橋からのぞき込むと澄んだ水が緩やかに流れていて、時折小魚がきらりと身を翻す様子が見えた。

 川辺の散策路を上流に向かって歩くと野川公園に着く。三鷹、調布、小金井の3市にまたがって80年に開園した広大な公園で、芝生の広場と木々が、かつて国際基督教大のゴルフ場だったことを物語る。親子連れや犬の散歩で訪れた人々と緑に浸っていると、時の流れをしばし忘れた。

 【メモ】国立天文台の見学コースは入場無料。

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