35年続く“ラジオ体操”、埼玉・浦和別所沼公園で 友達できる交流の場、全国表彰も「絶やさぬように」
さいたま市の「浦和別所沼公園ラジオ体操愛好会」は、長年にわたりラジオ体操を行っている。新しい年を迎えても日常は変わらず、健康づくりを目的に10分間、体を動かす。体操の前後にはウオーキングや参加者との交流を楽しみ、元気の源となっている。
同会は約35年前に数人から始まり、2012年に正式発足した。現在の会員数は、別所沼公園近くの南区、浦和区、桜区、中央区の65~99歳の385人。新型コロナウイルスの影響で一時中断したが、昨年6月に再開した。雨の日を除いて毎日開催し、平均約275人が感染防止対策を徹底しながら参加している。
市民の健康づくりを支援する市の長寿応援ポイント事業に登録。参加日数によって年間で1人につき上限5千円の奨励金を受けられることから、会員の励みになっているという。昨年7月には、全国ラジオ体操連盟などから優良団体として全国表彰された。
取材した4日は午前6時すぎ、東京・小笠原諸島で震度5強の地震が発生し、NHKラジオは午前6時30分~40分の放送を休止した。同会会員で全国ラジオ体操連盟1級指導士の橘井崇人さん(79)=浦和区=が、準備していた録音を流して時間通りに開催した。日の出前の霜が降りる寒さの中、小学校低学年や4歳の子どもら4人も参加。橘井さんは「小さな子どもたちが参加してくれるのはうれしい。ラジオ体操を伝えて、絶やさないようにしたい」と話す。
会員へのアンケートによると、「膝痛がなくなった」「腰痛が改善した」のほかに、「友達ができた」「食事がおいしくなった」などの回答が寄せられた。20年以上参加している自営業立石弘子さん(74)=南区=は「朝早くに起きて体操をして、誰とでも声を掛け合って交流する。最高です」。松田弘一さん(85)=中央区=は約5年前、友人に誘われて参加するようになった。「毎日来て健康になったし、参加する人たちと話せるのがいいね」と語った。
同会代表の増田勝さん(78)=浦和区=は定年退職後、地域に貢献できないかと考えて参加した。「地域の皆さんの健康を維持してもらうために必要な活動。そのお役に立てるだけで、幸せだと思っている。今後も続けていきたい」と話していた。