【東京ウオッチ】サブカル生んだ混沌の街へ飛び込む―6人のアーティストら「未来都市シブヤ」展 いまのTokyoをつかむイベント情報(16日~24日)
◎今週の一推しイベント
【16日(土)】
▽「未来都市シブヤ エフェメラを誘発する装置」(~29日、入場無料、渋谷区・ジャイル・ギャラリー)
100年に一度と言われる大規模再開発によって変貌し続ける渋谷の街を、批評的に問い直す作家6人の展覧会が、表参道で開かれている。
タイトルにある「エフェメラ」はグリーティングカードやチラシなど役目を終えると捨てられる印刷物を指す言葉。本展ではサブカルチャーの例えに用いた。キュレーターの飯田高誉さんは「渋谷はサブカルで発展した街。混沌や闇の中から生まれた自由な文化を再発見してほしい」と話す。
操上和美さんら写真家3人が、変わりゆく街や若者たちの姿をそれぞれの視点で切り取る。
渋谷が地元の石川直樹さんはコロナ禍の時期に、使い切りカメラやデジカメで撮影。それらの写真で構成した「STREETS ARE MINE」45点は、刻々と消えつつある古くからの街角のにおいを伝えている。
高層ビルとは対極にある街の一面を捉えたのは畠山直哉さんの「アンダーグラウンド」シリーズ。渋谷川の地下水路の写真は、汚水が流れているとは思えないほど美しい。
一方、版画家の風間サチコさんはスクランブル交差点を描いた大作「人外交差点」を出品。東日本大震災発生後に制作し、非常時に市民が互いを監視する“自粛警察”になってしまう危うさを浮かび上がらせた。渋谷ゆかりの20代のアーティスト、友沢こたおさんの人物画は、夢と現実の境界領域を表現する。
1970~80年代の渋谷パルコの広告でエネルギッシュな女性たち「HARUMI GALS」を描いた山口はるみさんのイラスト「ビー玉の女」も展示。その瞳の輝きが、当時の公園通りに漂っていた活気を伝えている。
○そのほかのお薦めイベント
【16日(土)】
▽「シャングリ・ラ東京のクリスマスケーキ&スイーツ」(ケーキ予約はオンラインのみ、千代田区)
大人から子どもまで楽しめるクリスマスのケーキとスイーツの予約が始まっている。今年、開業15周年を迎えたシャングリ・ラ東京のペストリーシェフ入鹿貴史さんが率いるチームが創作したのは全10種。
注目の「クリスマスメリーゴーランドケーキ」は、家族で行く遊園地から着想を得たという。ストロベリーショートケーキをベースに、中心にシュトーレンを置き、きらびやかなメリーゴーラウンドをチョコレートでつくった。香港に本社を置きグローバル展開しているホテルにふさわしく「世界のいろいろな場所や空想の世界に行くことができるイメージも重ねた」と入鹿さん。
栗をふんだんに使用した「クリスマストレインケーキ」も人気が高い。「列車は好奇心旺盛な子どもを思わせる。客室から見下ろせる東京駅からアイデアを膨らませた」と言う。子どもたちに喜ばれるのは「クリスマス飛行船チョコレート」。クッキーや焼き菓子を入れたチョコレートの飛行船は遊び心があふれる。
ケーキやスイーツは必ずホテルで受け取る。「ホテルの非日常感を自宅に持ち帰り、箱を開けるときのワクワク感、美しさやかわいらしさを家族で分け合ってもらいたい」
▽「ピカソ・セラミック―『見立て』の芸術」(~25年12月28日、港区・ヨックモックミュージアム)
20世紀を代表する画家の一人、パブロ・ピカソのセラミック作品を紹介する展覧会が、青山で開かれている。
第2次世界大戦後、南フランスを生活と制作の拠点としたピカソは、陶器制作を職人と共に本格的に始めた。本展では、画家の試みを「ものの見方の転換」と位置付け、日本文化伝統の「見立て」との共通性を見いだしている。
器を鳥に見立て造形した作品の数々は明るく開放感を感じさせる。こうした手法について、ピカソは「(セラミックに)生命を与える」と語っていたという。学芸員の富安玲子さんは「昔ながらの日本人と同じように、ある形の中に生き物などの別の姿を見いだしている」と言う。
闘牛場に見立てた皿からは、観衆の熱気まで伝わってくる。つぼにつぼの絵を描き、食べ物をのせる平皿に食べ物を描くといったトートロジー(同語反復)の手法も。「どれも表情豊かで親しみやすい。大戦などの悲劇的な経験を経て、南フランスで自由を感じていたのではないか」
人間の顔に見立て、さまざまな表情や個性を表現した丸い皿はピカソのセラミック作品を代表するシリーズだ。富安さんは「晩年も好奇心は衰えず、多様な異文化を偏見なく受け入れ続けた。寛容な精神が作品にあふれている」と話した。
▽「ニッポン全国物産展」(~17日、豊島区・池袋サンシャインシティ展示ホールA・B)
日本全国から厳選された200店以上が集まる物産展が、池袋で開催されている。
「47都道府県の味覚と名品の旅」をテーマに、全国のご当地フード、昔ながらの名産や地域の特産品までが勢ぞろいする。千席以上のフードコートエリアも用意。食べて、飲んで、土産も購入できる楽しいイベントだ。