埼玉新聞

 

【わが師円楽 三遊亭楽生#2】礼儀くらいは教えてやる 円楽と楽太郎、円生から「楽花生」に

  •  高座の三遊亭楽太郎(六代目円楽)=2002年1月

     高座の三遊亭楽太郎(六代目円楽)=2002年1月

  • 三遊亭楽生

    三遊亭楽生

  • 「わが師円楽 三遊亭楽生」9回続きの(2)

    「わが師円楽 三遊亭楽生」9回続きの(2)

  •  高座の三遊亭楽太郎(六代目円楽)=2002年1月
  • 三遊亭楽生
  • 「わが師円楽 三遊亭楽生」9回続きの(2)

 1997年4月、大学受験に失敗した19歳の少年は、人気落語家三遊亭楽太郎(後の六代目円楽)への入門を試みる―。(9回続きの2回目)

  ×   ×

 師匠の事務所に電話して、4月10日に両国寄席の楽屋へ。履歴書を持ってくるようにと。なんだかバイトの面接のようでした。決意表明のために丸坊主にしていざ両国!

 受付で「師匠にお会いする約束をしています」と伝え、楽屋に案内されました。うおお本物だ! テレビで見る楽太郎師匠が目の前に。

 「手紙は読んだ。今まで4人弟子がいたが皆辞めた。俺は厳しすぎるみたいだ。もう弟子は取らない」

 「師匠以外の弟子になるつもりはありません。よろしくお願いします」

 「駄目だ」「お願いします」押し問答の末「まあいいや、明日から家に来い。最低限の礼儀くらいは教えてやる」。

 やりました。一歩前進。翌日師匠宅へ。初日からたくさんのことを教えていただきました。

 二つ目の先輩はあにさん、真打ちは師匠と呼べ。衣紋掛け持ってこい。衣紋掛けってなんでしょう? そんな言葉も知らないのか。何? はばかりも知らないのか、最近の若い者は。手を後ろで組むな。組むなら前で。掃除の仕方、洗い物、ごみ出し、犬の散歩などなど…。

 あれ? ワタクシは落語家になったんじゃなかったっけ? 今思うと、こういうところから始まるんです。落語なんか教えてくれません。

 ひと月たった頃「おまえやる気があるのか」と師匠。

 「もちろんです」

 「じゃあ、おまえに名前をやる」

 すごい数の名前を考えていてくれました。1浪してるから楽一浪、楽馬、ラッキー、ラッシー…。師匠、何でもいいんですか?

 「円楽、楽太郎の楽、円生師匠の生、芸人は花がなければいけない。俺は楽花生がいいと思う」

 三遊亭楽花生の誕生です。

【さんゆうてい・らくしょう】1977年さいたま市生まれ。97年三遊亭楽太郎(後の六代目円楽)に入門し、楽花生を名乗る。2008年楽生と改め真打ちに昇進。毎月1回、人形町・日本橋社会教育会館で独演会を開催している。ラジオ日本「SWEET!! Friday Edition」(金曜午前9時~)に出演中。

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