<新型コロナ>行動制限、再び…鈍る客足に店主らため息 まん延防止適用後の初の週末、理解と戸惑い交錯
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「まん延防止等重点措置」対象に追加指定された埼玉県など13都県は22日、適用後初の週末を迎えた。さいたま市や多くの観光客が訪れる川越市の飲食店などからは、再び求められた行動制限への理解と戸惑いの声が交錯した。
県内の飲食店に対しては「ワクチン・検査パッケージ」制度の登録店で、制度運用を申請し、接種証明や陰性証明を確認できた場合は午前11時から午後8時半まで、酒類の提供が認められる。それ以外の飲食店については終日、酒類の提供自粛が求められる。
JR浦和駅西口近くの飲食店「旬楽飃」店主の金子敏之さん(60)は「お酒を飲まないお客さんは数パーセントしかいないと思う。お酒を提供できるならと、数日前に急いでパッケージ登録を申請した」と明かした。
感染状況が落ち着いていた昨年12月は例年の8割ほどまで客足が戻り「いけると思った」と手応えを振り返る。店内ではテーブル席に飛沫(ひまつ)防止の透明なカーテンを設置するなど感染対策を取っているが、感染再拡大により一部の常連客は遠のいたという。
金子さんはワクチン・検査パッケージには「お客さんが慣れて、客足が戻ればいいが」と期待を抱いている。しかし「仕入れ先など取引先のことを考えると店を閉めるわけにはいかないが、お金だけを考えるなら休業してしまった方がいい」と葛藤が続いている。
蔵造りの街並みで知られる川越市内は、観光客でまずまずのにぎわいだった。だが、川越一番街商業協同組合理事長で、そば店「寿庵 蔵のまち店」店主の藤井清隆さん(49)は「成人の日ごろから、急に客足が鈍ってきた」とため息をつく。
藤井さんによると、年末年始の観光客は、新型コロナウイルス感染拡大前の水準近くまで戻っていたという。組合では消毒液の製造装置を購入し、会員の店で使えるようにするなど、感染対策に取り組んでいる。藤井さんは「対策をもう一度徹底しようと話し合った。今年こそは大丈夫かなと思っていたのだが」と落胆を隠せない。会員の漬物店「河村屋川越店」店長の松岡由起さん(50)は、「地元住民にとっては日頃の食材を買う商店街でもあるので、最初の緊急事態宣言時のように店を閉めることにならないように気を付けたい」と、さらなる感染拡大を警戒した。
観光客らは、ほとんどがマスク姿で街歩きを楽しんでいた。越谷市の会社員大熊俊之さん(63)と妻の保育士よう子さん(63)は、用事で訪れたのを利用して散策。よう子さんは「思ったよりも人が多くて驚いた」と話し、俊之さんは「まん延防止措置適用は仕方ない。感染拡大が早く収まってほしい」と願っていた。