さいたまで6弱、駅に多くの人が滞在…東日本大震災を教訓、JR大宮駅で帰宅困難者への対策訓練 80人が参加 安全確保の行動とり、訓練施設まで歩く
JR大宮駅で19日、駅に多数の帰宅困難者が発生した場合の対策訓練が行われ、駅職員や周辺施設、企業の社員ら約80人が参加した。鉄道事業者や企業などでつくる「大宮駅周辺帰宅困難者対策協議会」(会長・末松直美大宮駅副駅長)が実施。同協議会は、東日本大震災で多くの帰宅困難者が出たことを教訓に、翌2012年4月に設立。毎年この時期に訓練を行っている。
午前10時5分、「マグニチュード7・3の首都直下地震(都心南部震源)が発生し、さいたま市の最大震度は6弱。公共交通機関が止まり、駅構内に多くの人が滞在中」との設定で訓練が開始された。発生と同時に参加者はシェイクアウト訓練「身を低くし、頭を守り、動かない」という安全確保行動をとった。その後、駅員らに誘導され、駅東口広場で待機。「帰宅困難者一時滞在施設マップ」が配られ、今回の訓練施設で、同駅東口から徒歩3分の場所にある「市民会館おおみや」まで歩いた。
実際の災害時は、さいたま市の災害対策本部が帰宅困難者の発生状況を駅に確認し、一時滞在施設の開設を要請。施設管理者が安全状況や受け入れ可能人数などを確認したうえで市に開設を連絡する。これを受け、市は警察署に歩行者の安全確保を依頼する流れとなる。
市防災対策課によると、市内の一時滞在施設は43カ所で大宮駅周辺は23カ所となっている。訓練参加者が到着した市民会館おおみやでは、施設側から避難所の体制や設備について説明があり、同課の職員によって水を使わずに凝固剤でゼリー状にする「排便袋」を使用するトイレの実演などが行われた。
協議会の構成団体に勤める女性(52)は「駅構内から安全に人を出すという目的が理解できた。協力態勢が整っていると実感した」と話した。車いすで行動した大宮区総務課の蟻川隼矢さん(42)は「目線が低いので、人にぶつかるんじゃないかと不安を感じた。階段を後ろ向きで運んでもらう時は訓練でも怖かった。車いすの人の気持ちがちよっと分かった」と語っていた。