埼玉新聞

 

ここ数年で一番大きい!埼玉“秩父三大氷柱”見頃 コロナで客足が遠のくも「ライトアップなど美しい」

  • ライトアップされた「あしがくぼの氷柱」=7日午後5時半ごろ、横瀬町芦ケ久保

  • つり橋から氷の芸術を楽しめる「尾ノ内氷柱」=25日午前10時半ごろ、小鹿野町河原沢

 見頃を迎えている秩父地域の冬の風物詩「秩父三大氷柱」が、3季続けて集客に苦しんでいる。一昨年は暖冬で氷柱が造れず、昨年と今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で自粛開催を余儀なくされた。今年は厳しい寒さの下、秩父市の「三十槌(みそつち)の氷柱」、横瀬町の「あしがくぼの氷柱」、小鹿野町の「尾ノ内氷柱」の3会場とも、厚みのある、美しい氷柱が出来上がった。関係者は「みんなに見に来てもらいたが、コロナ禍で積極的に呼び掛けるのは難しい」と、頭を抱えている。

 つり橋から壮大な氷の芸術を楽しめる、小鹿野町河原沢地区の「尾ノ内氷柱」(2月27日まで開催予定)は、地元のボランティア約30人体制で、上流から取水した沢の水をホースで木々に散水し、自然凍結させて氷柱を育てている。

 尾ノ内渓谷氷柱実行委員会の北孝行会長(78)によると、年間の平均来場者は約3~4万人だが、2019年度は約5万5千人の来場があった。会員制交流サイト(SNS)などで秩父地域の魅力が広まり、外国人観光客が増加した。

 年々順調に客足を伸ばしてきたが、20年度は暖冬の影響で氷柱が形成できず、来場者は1万人程度だった。通常は環境整備協力費として1人400円徴収しているが、不出来のため無料開放し、300台近く入っていた観光バスの予約も全て断った。

 続く21年度も無料開放の営業を余儀なくされた。感染防止対策のため、会場に従業員を置かず、入退場を自由にしたためだ。約2万5千人来場したが、北会長は「2季続けて入場料を取れなかったので、赤字続きの運営になった」と声を落とす。

 今季は、県内のまん延防止等重点措置を受けて、恒例の甘酒無料配布や売店での郷土料理提供は中止にしている。

 北会長は「今年は立派な氷柱ができたが、来場者は見込めず、人員配置に苦労している。ライトアップや竹明かり作りなど、町が一体で盛り上げているので、みんなに何とか思いが伝わってほしい」と話していた。

 横瀬町芦ケ久保の「あしがくぼの氷柱」(2月23日まで開催予定)は、19年度に過去最多の約12万人が来場したが、暖冬の20年度は約4千人と激減。コロナ禍の21年度も約3万8千人と落ち込んだ。

 横瀬町観光協会事務局の金子るみさん(48)によると、今季は氷柱の仕上がりが好評で、前年よりは客足が増えているという。金子さんは「来場者に感染対策の徹底をお願いしながら、秩父地域活性化のためにも来場を呼び掛けていきたい」と話していた。

 秩父市大滝の「三十槌の氷柱」(2月23日まで開催予定)は、3カ所で唯一、天然の氷柱を楽しめる。19年度は約6万人が来場したが、20年度は氷柱が形成できす臨時休園、21年度は約2万5千人にとどまった。

 秩父観光協会大滝支部の行常一栄さん(59)は「今年の氷柱はここ数年間で一番大きい。例年なら積極的に呼び掛けているが、今年と昨年は宣伝を控えている。イベントは中止にしたが、来場者は冬の運転に気を付けながら楽しんでほしい」と話していた。

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