1985年に開設した草加市民温水プール（同市柿木町）が老朽化による建て替え工事のため、5日を最後に閉館する。地域に愛されて37年。先月下旬から、園児や高齢者がプールサイドの壁一面に感謝のメッセージを書き込み、別れを惜しんでいる。

　プールは歩行と遊泳の8レーン（25メートルコース）あり、平日は高齢者が中心に利用。バスなどを利用して近隣の越谷や八潮から訪れる人も。幼児プールもあるため、夏休みや週末は家族連れでにぎわった。料金は2時間で大人340円、小中高生170円と、手頃な価格も人気の要因だった。昨年から新型コロナ対策で入れ替え制を取っているるため、1日の平均利用者数は約120人。近隣にプール施設がなかった30年前は1日千人以上が訪れたという。

　そのプールも施設の老朽化に伴い、5日で閉館が決定。運営する草加市スポーツ協会によると、新施設はトレーニングジムやスタジオなど併設した複合スポーツ施設になる予定だという。

　「ありがとう市民温水プール」と銘打ったイベントを先月下旬から開始。競泳記録会や有酸素運動と水泳を織り交ぜたアクアビクス体験などには多くの参加者が訪れた。

　このころから利用者がプールサイド壁一面に感謝の思いを書き始めた。「人生初のメダルはここでのメダル」「楽しい思い出ありがとう」「親子2代で利用させてもらいました」。数々の心温まるメッセージは今もなお増え続けている。

　交通事故に遭い、足のリハビリで通う三郷市の50代男性は約25年間、毎週1～2回利用した。「自宅から近いし、料金も安く、大変お世話になった。このプールには感謝の気持ちしかない」と名残惜しそうに話す。

　最終日の5日は37年間の感謝を込め、無料開放日となる（午前9時～午後4時半まで）。時間入れ替え制でなく、何時間でも自由に利用できるという。

　吉田裕美館長は「私自身、このプールに30年近く勤務してきたので寂しい思いでいっぱい。利用者と何年間は会えなくなるが、新施設で再会できる日を心待ちにしたい」と話した。

　問い合わせは、同プール（電話048・936・6824）へ。