埼玉新聞

 

未来への平和の祈り込め…新元号の発表の日、真っ盛りの桜描く さいたまで透明水彩画展、作品39点を展示

  • 青木さんとフランスのスミュール・アン・ソワを描いた作品「再会の日」=さいたま市大宮区のギャラリー・エルポエタ2

 柔らかな光の表現で知られる画家青木美和さん(55)=東京都在住=の透明水彩画展「ひかりのはじまり」が4日まで、さいたま市大宮区下町のギャラリー「エル・ポエタ2」で開かれている。

 国内外の風景のほか、花々をモチーフにしたはがきサイズから15号までの作品39点を展示。新元号「令和」が発表された日の桜を描いた作品もある。

 いずれも透明水彩の特長である「ぼかし」と「にじみ」の技法を巧みに取り入れ、紙の白さも生かしながら光を表現している。

 「カフェのある橋II」は、英国の児童書「ピーターラビット」の舞台、湖水地方グラスミアの古い石造りの橋を取り囲む緑の木々を描いた。日差しを受けて輝く木の緑が匂い立つようだ。

 フランスの香水に使われるスミレの産地トゥレット・シュル・ルーの町並みを描いた「ミモザを飾る街」は、3月に旅した時のもの。ミモザで黄色一色になった街の窓辺に下げられた洗濯物に、人々の日々の暮らしぶりが感じられる。

 作品のキャプション(説明文)にも臨場感があり、各地を旅しているようだ。

 青木さんは、平成の始まりとともに絵の方向性を油彩などから透明水彩に絞った。「透明水彩を描いていると、水の中を泳いでいるような爽快感がある」からだ。今回の個展では、平成を振り返る意味で過去の作品も展示した。

 新元号の発表時、急に静かになった新宿御苑で、真っ盛りの桜を描いた「新元号発表の日に」も並べた。光があふれ穏やかな作品には未来への平和の祈りを込めたという。

 展示は午前10時半~午後5時半(最終日は午後4時まで)。

 問い合わせは、同ギャラリー(電話048・871・6038)へ。

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