伊奈町で2017年12月、長女＝当時（4）＝に十分な食事を与えず、適切な医療を受けさせずに死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われた父親（32）と母親（30）の裁判員裁判の論告求刑公判が7日、さいたま地裁（北村和哉裁判長）で開かれた。検察側は「精神的、肉体的苦痛は大きく、犯行様態は悪質」として両被告に対してそれぞれ懲役8年を求刑。弁護士側は無罪を主張し結審した。判決は24日。

　検察側は論告で、両被告が長女への暴行の発覚を恐れて病院へ連れて行くことを避けたことを指摘。「家庭が唯一の世界だった長女にとって、両被告から暴行を受けたことの苦痛は甚大だった」と述べた。

　弁護側はそれぞれ医療措置について、両被告は生存のために必要であったことを認識していなかったと説明。長女が息をしなくなった際に、父親が病院へ連れて行くように母親に言ったことを挙げ「故意に病院に連れて行かなかったわけではない。暴行の事実はあるものの、保護責任者遺棄致死の罪を犯したとは言えない」と主張した。

　起訴状などによると、父親と母親は共謀の上、伊奈町の自宅で長女に十分な食事を与えず、筋肉を断裂させたにもかかわらず適切な医療を受けさせることなく、17年12月21日、低体温症により死亡させたとされる。