埼玉新聞

 

政府、安保・経済協力へ影響懸念 日韓国交正常化60年を控え

  •  韓国の尹錫悦大統領が宣言した「非常戒厳」を受け、ソウルの国会の本会議場に進入しようとする兵士。奥は消火器を噴射して行く手を阻む国会職員ら=4日未明(聯合=共同)

     韓国の尹錫悦大統領が宣言した「非常戒厳」を受け、ソウルの国会の本会議場に進入しようとする兵士。奥は消火器を噴射して行く手を阻む国会職員ら=4日未明(聯合=共同)

  •  韓国の尹錫悦大統領が宣言した「非常戒厳」を受け、ソウルの国会の本会議場に進入しようとする兵士。奥は消火器を噴射して行く手を阻む国会職員ら=4日未明(聯合=共同)

 日本政府は、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を一時宣言したことを受けた混乱に懸念を深めている。岸田前政権期からの安全保障や経済分野などを巡る協力推進に重大な影響を与える可能性があるためだ。来年は、日韓国交正常化60周年の節目。機運醸成に向けて1月に調整している石破茂首相の訪韓を困難視する声が出始めた。首脳同士の相互訪問「シャトル外交」活発化についても実現は遠のきかねない。

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮をにらんだ日韓の連携が揺らげば、日本の安保政策にも影を落とすのは必至。日本にとって避けたい事態だ。首相は4日の参院代表質問で「日韓は国際社会のさまざまな課題に協力すべき重要な隣国同士だ。情勢を注視し、適切に判断する」と語った。邦人保護に全力を尽くす考えも示した。

 昨年3月、当時の岸田文雄首相と尹氏は、日韓の対立を招いていた元徴用工訴訟問題の解決策に合意し、関係正常化を果たした。尹氏が辞任に追い込まれた場合、新政権が正常化60周年を契機にした関係深化へ歩調を合わせる保証はない。

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