埼玉新聞

 

避難所のトイレ考える 災害時に水洗トイレ使えず 不衛生なトイレで感染症や水分摂取控えて関連死などの問題点が 「切れ目のないトイレ環境の確保必要」

  • ワークショップで災害用トイレを作る女性建築士ら=11月25日、さいたま市浦和区の埼玉教育会館

    ワークショップで災害用トイレを作る女性建築士ら=11月25日、さいたま市浦和区の埼玉教育会館

  • ワークショップで災害用トイレを作る女性建築士ら=11月25日、さいたま市浦和区の埼玉教育会館

 建築士の視点で災害時の避難所でのトイレについて考える講演会とワークショップがさいたま市浦和区で開かれた。埼玉建築士会女性委員会が主催し、女性会員ら約50人が参加した。

 地震などの災害時に自宅や避難所で上下水道が使用できない時は、通常のトイレを携帯トイレとして使用することが災害関連死の減少につながるとされる。催しはその啓発として企画された。

 講演では、NPO法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事が「災害時、水洗トイレは使えない」と題し、過去の震災時の避難所でのトイレ事例を紹介。避難者が安心してトイレを利用できていない現状や不衛生なトイレで感染症にかかったり、水分摂取の控えによる関連死、心理的負担による不和などの問題点を指摘した。

 対策としては「携帯・簡易・マンホール・仮設トイレの四つを組み合わせて、切れ目のないトイレ環境の確保が必要」と提案。参加した建築士らに「災害時のトイレは特に女性建築士の視点でどう避難所をつくれるかが重要。避難所を生活空間としてデザインする力をお借りしたい。誰でも使うトイレから始めてほしい」と呼びかけた。

 埼玉建築士会入間第1支部のシン設計室の高橋真理奈さんが所沢市に企画・設計した休憩・イベントスペースとしても活用できる公共トイレ「インフラスタンド」も紹介された。

 講演後は、45リットルビニール袋とペットシートを使って簡単に清潔に災害用トイレを作るワークショップも行われた。

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