埼玉新聞

 

花の名所、埼玉・秩父で全長50メートルの藤棚を改修 花咲き誇るシーズンへ、地元ボランティアが整備

  • 藤棚の改修工事を行うボランティア団体「花の郷をつくる会」=秩父市上吉田の吉田川周辺

 秩父市上吉田を流れる吉田川周辺の景観美化のため、地元のボランティア団体・花の郷をつくる会が、アウトドア体験施設「吉田元気村」の川沿いに設置された藤棚の改修工事を行った。会員9人が道具や材料を持ちより、老朽化した土留めのブロックを交換。毎年5月ごろの薄紫や白色の花が咲き誇るシーズンに向けて、環境整備を進めている。

 以前は吉田川の岸辺は雑草などが生い茂ったままの状態だったが、県内100カ所の川を整備する県の事業「水辺再生100プラン」で、2010年以降は人々の憩いの空間に変身。スロープや階段の整備、岸を結ぶ飛び石や擬木ベンチの取り付け作業などが約1年間かけて実施され、藤棚や花壇も整備した。同会員や地元住民らも、「花の名所」を維持しようと、フジの木やマリーゴールドなどを植えた。

 毎年、ツツジやサクラ、ツバキなどが咲く4月ごろから吉田元気村周辺に県内外から多くの見物客が訪れる。しかし、同会の大場正紀会長(81)によるとコロナ禍で、地元の伝統行事「花まつり」の中止なども影響し、花の魅力を伝える機会が減ってしまっているという。

 全長約50メートルの藤棚には、同会員らが接ぎ木や剪定(せんてい)を繰り返して育てたフジの木21本が植えられている。植栽管理や造園作業に不慣れな会員もいるが、経験者に教えてもらいながら10年以上、地域一体で環境整備に尽くしている。

 大場さんは「活動を通じて、地元住民との新たなコミュニケーションが生まれ、楽しみながら作業ができている。次の世代につなぐためにも、地域内外に花の名所を広めていきたい」と話していた。

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