【東京ウオッチ】沿線に育まれた生活空間の創造―世田谷美術館で「東急100年」展 いまのTokyoをつかむイベント情報(14日~22日)
◎今週の一推しイベント
【14日(土)】
▽「東急 暮らしと街の文化―100年の時を拓く」(~25年2月2日、世田谷区)
東急が100年以上にわたり手がけてきた輸送事業と宅地開発、加えて多彩な文化活動の歩みをたどる展覧会が、世田谷美術館で開かれている。
同館が2007年以来、各企業の保管庫に眠る資料を文化資産として紹介してきた「企業と美術シリーズ」の第5弾。資生堂、高島屋、東宝スタジオ、竹中工務店とのタイアップに続く今回は、東急の広範な事業展開を通して沿線の暮らしや社会の移り変わりを探った。
渋沢栄一の田園都市構想をルーツとする東急の鉄道・バス事業は、郊外住宅地開発と両輪で営まれ、草創期の洗足や田園調布の開発から、戦後は多摩川を越えて大きく延伸を遂げた。歴代の鉄道車両模型や記念乗車券・広報資料、宅地開発の図面やパンフレットが多数展示され、その歴史を跡づける。
渋谷で長年親しまれた五島プラネタリウムや、日本初の常設サーキット「多摩川スピードウェイ」の珍しい旧資料も。複合文化施設Bunkamura(休館中)を彩った公演・上映ポスターの数々は、東急の先駆的な文化発信力を物語る。実質的創業者・五島慶太ゆかりの五島美術館からは棟方志功の版画など重厚な名品が出展された。
一方、世田谷美術館ならではの試みとして、かつて東急各線の沿線にアトリエを構えた美術家らの絵画や彫刻を一堂に展観。向井潤吉、芥川(間所)紗織、舟越桂さんらそうそうたる顔ぶれがそろった。学芸員の池尻豪介さんは「世田谷区の南半分はほとんど東急沿線という深いゆかりがある。当館のコレクションをフル活用した」と話す。
企業と美術という切り口から、100年の文化の蓄積が浮かび上がってくる。
○そのほかのお薦めイベント
【14日(土)】
▽「TRUNK(STORE)のクリスマスケーキ」(予約は18日まで、「KAGA」は21~25日の指定日に配送、「NOTO」は同期間内にホテルで受け取り、渋谷区)
神宮前のブティックホテル「TRUNK(HOTEL)CAT STREET」内のコンセプトショップ「TRUNK(STORE)」で、クリスマスケーキの予約を受け付けている。
石川県の復興をテーマにした二つのケーキを展開。パティシエの芳賀浩明さんは「クリスマスケーキの開発を考えた時、真っ先に思い浮かんだのが能登半島地震だった。発生から1年がたとうとする今年は被災地の人々に心を寄せながら、特別なお祝いができればとの思いを込めた」と話す。
白色が美しい「KAGA」は県の名産品である加賀棒茶をメインにしたケーキだ。ホワイトチョコレートのムースには、白山市に蔵元のある甘酒を使っている。
栗で茶色に仕上げた「NOTO」は、石川県の中でも特に被害の大きかった地域の名産品をリサーチして制作。能登栗をムースと渋皮煮に使い、志賀町特産の最勝柿のジュレや輪島の塩を使用したサブレを重ねた。
芳賀さんらは現地を訪れ生産者との交流も深めたという。「1月に被災した直後、農園で秋の収穫のために剪定を行ったという話が印象的だった。前を向いて作業にあたる姿勢に感銘を受けた」
ケーキの開発には丸2カ月を要した。「シンプルなデザインで、食材の持つ魅力を最大限に生かすことに重きを置いた。石川県とのつながりをつくるきっかけになればと思う」。24、25日はクリスマス限定のディナーコースもホテル内のレストランで提供する。
▽「皆川明さんと三越伊勢丹のクリスマス」(~25日、新宿区)
ブランド「ミナ ペルホネン」のデザイナー皆川明さんによるクリスマスキャンペーンが伊勢丹新宿店で始まっている。
キャンペーンの開催は3年目。ことしも「喜びの輪が広がり、みんなが一つになる」との意味を込めた「One」をテーマにした。
皆川さんが描きおろしたメインビジュアルには、サンタやトナカイ、森の動物たちに加え、少し不思議な生き物たちが集う様子が描かれている。「森の住人たちが新しく始まる“時の景色”を楽しみにする光景を表現した。みんなの喜びはわたしの喜びとのメッセージを受け取ってもらえたら」と皆川さんは言う。
ショーウインドーや各フロアでイラストの世界観が表現され、心安らぐクリスマスの景色が広がっている。買い物客はメインビジュアルをあしらった、かわいらしい紙袋や包装紙にくるまれた商品を受け取れる。
世界の状況を乗り越えて人と人がつながり合えるようにと、ラッピングにはOneのロゴが入ったメッセージカードも添えられている。「大切な人を思ってプレゼントを選んだり、季節の雰囲気を楽しんだり、館内で心温まるホリデーシーズンを過ごしてほしい」
【16日(月)】
▽「Nice to Meet vol.1」(19時、事前予約制、渋谷区・TENOHA代官山)
代官山の地にゆかりのある登壇者が参加者たちと対話を重ね、代官山の新たな魅力や価値を探り出す連続イベントが始まる。
第1回は「フォレストゲート代官山」「無印良品 代官山」「代官山 蔦屋書店」の三つの商業施設の関係者が登壇。それぞれの施設の「今」と「未来」を考えつつ、代官山でどのような文化を創造し発信していくかを話し合う。