教員不足でテストできず…2週間にわたり自習続く 生徒に直接的影響 埼玉・吉川 教員の出産、育児、病気、退職が重なり、市立小中学校では6~7人の欠員 補充追い付かず 11月以降、教員2人が補充され、授業は正常に
小中学校の教員不足が問題となる中、埼玉県吉川市では欠員となった教員の補充が追い付かず、中学校1校で定期テストが実施できずに1学期の成績がつけられなかったり、2週間にわたり自習が続くなど、生徒に直接的な影響が出ていたことが分かった。12日に行われた市議会12月定例会の一般質問で、林美希議員(未来会議よしかわ)の質問に市側が答弁した。
市教育委員会学校教育課や市議会の市側の答弁によると、教員の出産、育児、病気、退職が重なり、市立小中学校では本年度、教員6~7人の欠員が続いているという。
市内のある中学校では7月途中から授業が予定通り進まず、1学期の定期テストが実施できなかった。1、2年生については1学期分を合算し2学期末に評価する。進路指導で評価が必要な3年生は9月2日にテストを実施。9月下旬に当該教科の成績が入った通知表を再配布した。
この中学校では2学期に入り、10月に複数のクラスで英語の授業ができなくなり、2週間にわたり自習が続いた。教科担当が課題を用意し、管理職を含む担当外の教員が自習を監督する事態に。
オンラインを活用するなど対応したが、保護者からは子どもの学習について不安視する声が市教委に寄せられたという。11月以降、教員2人が補充され、授業は正常に行われているという。
保護者や生徒から相談を受けている林議員は現状について「急に病休や予期しないことがあった場合、どこかの学校で、また同じようなことが起こってしまってもおかしくない」と危惧する。
事態を把握していた県教委は代替教員を補充できなかった。県教委小中学校人事課によると、教員不足が理由で短期的に自習が発生することはあるが「実際にテストができないような状況は初めて」としている。
同課の担当は「教員の補充がすぐにできない状況を重く受け止めている。今後代替教員の確保に向け方策を講じて対応したい。今後このようなことがないよう、市町村と連携したい」としている。
市教委は、市内の駅や公共施設にポスターを張り、臨時的任用教職員を募集。幹部が退職教員や教員免許を持つ知人に声をかけるなど、何とか欠員分の負担を軽減しようと苦慮している。
市教委は埼玉新聞の取材に対し「子どもたちの学習の機会を保障してあげられず、申し訳ない。今後も授業がしっかり進められるよう、県教委、学校と連携していく」とコメントした。