ウクライナ出身の神職、埼玉・上里から切な願い ロシア軍侵攻を予想も募る不安「早く平和な生活に戻って」
ロシア軍は24日、ウクライナに侵攻し、首都キエフなどの軍事施設をミサイルで空爆した。ウクライナ出身で、上里町帯刀にある菅原神社の権禰宜(ごんねぎ)梅林テチャナさん(39)は「信じられなかったし、今でも信じられない」と悲嘆する。現地に住む親戚の無事は確認できたものの、「一日でも早く平和な生活に戻ってほしい」と切に願っている。
テチャナさんはウクライナで最も西にあるザカルパチア州出身。キエフ国立大学で日本語を専攻し、同神社の禰宜で当時日本語を指導していた夫の正樹さん(49)と知り合った。2009年に来日し、英語塾や貿易事務で働いていたが、「主人を少しでも手伝いたい」と神職の道に。同神社では英語とウクライナ語の御朱印も頒布する。外務省研修所の非常勤講師を務めており、外交官にウクライナ語も教えている。
ロシアのウクライナ侵攻はプーチン大統領の言動で予想していたが、親戚は戦争にはならないと考えていたようだったという。恐れていたことが現実になり、「信じられなかったし、今でも信じられない」と肩を落とす。家族は欧州に住んでおり、ウクライナにいる親戚の無事は確認できた。
ロシアはウクライナの東側から攻め込むのではないかと考えていたが、全域で被害が出ている。今後も予断を許さない状況が続くと思っており、「自分が生まれた場所は何があっても安全な地域だと思っていたけど、これからはどうなるか分からない」と不安が募る。
正樹さんは「ウクライナ人は日本人にも好意的で、本当にフレンドリーだったので、ニュースの映像は見るに堪えない。何とか最小限の被害で収束してほしい」と強く願う。テチャナさんは多くの人々から温かい言葉を掛けてもらったことを感謝しつつ、「本当に早く平和的に解決してほしい。それだけを願っている」と話していた。