埼玉新聞

 

心臓が飛び出そうな衝撃…ウクライナ留学生の父「危ないから帰るな」 生き地獄「もっと大きな戦争に」

  • 母国のウクライナについて語るミコラ・バトゥリンさん=2月28日午後、行田市宮本のさきたま国際学院

 ロシア軍がウクライナに侵攻して1週間。依然として激しい攻防戦が続いており、ウクライナ出身で、行田市宮本の日本語学校「さきたま国際学院」に通う留学生のミコラ・バトゥリンさん(23)は「1週間前までは普通の生活だったのに、皆の生活が変わってしまった」と嘆く。家族や友人と連絡は取れているが、「どうなるか分からない」と眠れぬ不安な日々を過ごす。

 ミコラさんはウクライナ南部の都市オデッサ出身。子どもの頃に日本の歴史や文化に興味を持った。2020年4月にさきたま国際学院に入学予定だったが、新型コロナウイルスの影響で約半年遅れの同年11月に入学。昨年9月には熊谷市内で行われた「第29回外国人による日本語スピーチコンテスト」(熊谷市国際交流協会主催)に出場し、優秀賞の市議会議長賞にも選ばれた。

 ロシア軍がウクライナに侵攻した際、「心臓が飛び出るぐらい」の大きな衝撃を受けた。すぐに首都キエフ近郊に住む両親とオデッサに住む兄2人と連絡を取り、無事は確認できた。居ても立ってもいられず、すぐにでも帰国するつもりでいたが、父親からは「危ないから帰ってくるな」と言われたという。

 それからは毎朝起床すると、家族や友人に「生きてる?」と安否を確認している。授業中以外は常にニュースをチェックしており、「軍事施設だけでなく、普通の住宅にもミサイルが飛んできている。生き地獄のようだ」と肩を落とす。他のことは手につかず、食欲もなくなり、眠れない日々を送っている。

 もし家族に何かあったらすぐに帰国するつもりだが、自分でできることをやろうと、ウクライナ軍を支援するための募金にインターネットで協力。今後は都内で行われるデモにも参加する予定という。「プーチン大統領を止めないと、もっと大きな戦争になってしまう。自分でできることを少しでもいいからやっていきたい」と話している。

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