埼玉新聞

 

【わが師円楽 三遊亭楽生#7】「正座も稽古だぞ」 初めに「子ほめ」を習う

  •  新宿末広亭の楽屋で。三遊亭楽生(左から2人目)と六代目円楽(同3人目)ら=2017年5月、東京都新宿区

     新宿末広亭の楽屋で。三遊亭楽生(左から2人目)と六代目円楽(同3人目)ら=2017年5月、東京都新宿区

  • 三遊亭楽生

    三遊亭楽生

  • わが師円楽9回続きの(7)

    わが師円楽9回続きの(7)

  •  新宿末広亭の楽屋で。三遊亭楽生(左から2人目)と六代目円楽(同3人目)ら=2017年5月、東京都新宿区
  • 三遊亭楽生
  • わが師円楽9回続きの(7)

 三遊亭楽太郎(後の六代目円楽)に入門してひと月、初めて稽古をつけてもらう。

  ×   ×

 1997年5月のある朝のことです。師匠から「落語をやる気があるのか」と聞かれ、大きな声で「はい!」。そのまま稽古に突入です。和室で師匠が浴衣に着替えて座布団に座ります。弟子のワタクシは畳に座ります。忘れもしません、一番初めに「子ほめ」を習いました。

 入門時19歳。子どもです。そのワタクシが子どもを褒める落語を教わる。今考えるとおかしいですよね。でも真剣な稽古。目の前で憧れの師匠が自分のためだけに一席やってくださる。おお、これが師弟関係なのか。しかし正座などまともにしたことのない19歳。10分もしないうちに足が…。

 師匠が真剣に稽古してくださっているにもかかわらず、だんだん落語が入ってこなくなり、歯を食いしばって足のしびれと戦う。30分ほどで稽古が終わります。まだテープレコーダーを持っていなかったワタクシのために、師匠が録音してくれていました。「次回からは自分でな」

 師匠はすっと立ち上がって和室から出ようとする。ワタクシもすぐに追いかけたいのですが、生まれたての子鹿のようになっている。師匠が一言。「無理に立とうとするな。捻挫するから。そして正座も稽古だぞ」

 格好いい。今年その時の師匠と同じ47歳になってしまいました。正座で動けなくなることはなくなりました(笑)。

 またひと月後の6月6日、埼玉県越谷市のサンシティホールで初高座を迎えます。師匠の独演会で「子ほめ」をやりました。芸事は6歳6月6日に始めると良いそう。そこに合わせて支度していただきました。本当に感謝しかありません。

 結果はどうだったって? 全くウケませんでした。袖に戻る時、足がしびれてフラフラで高座返しを忘れて戻って、めくりを返すのも忘れて…。師匠はあきれていましたが、客席は大爆笑でした(涙)。

【さんゆうてい・らくしょう】1977年さいたま市生まれ。97年三遊亭楽太郎(後の六代目円楽)に入門し、楽花生を名乗る。2008年楽生と改め真打ちに昇進。毎月1回、人形町・日本橋社会教育会館で独演会を開催している。ラジオ日本「SWEET!! Friday Edition」(金曜午前9時~)に出演中。

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