埼玉が全国初…拉致問題の早期解決へ、都道府県単位で条例 被害者の救出や解決に貢献 一刻も早い解決願う 救う会埼玉が声明「許さない意思、全国に広がること祈る」
県議会12月定例会は最終日の20日、自民党県議団(田村琢実団長)が提案した北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決に向けた施策を推進する条例案を賛成多数で可決、成立した。2024年度一般会計補正予算案など、意見書6件を含む62議案を可決、認定、同意して閉会した。
条例は拉致問題の風化防止や理解増進が目的で、県の責務として解決への機運醸成や国との連携、啓発を積極的に行うことを明記。学校の授業や県職員への研修などの施策を実施するため、「必要な財政上の措置を講ずるよう努める」としている。施行期日は公布日とし、県は24日を見込んでいる。
同様の条例は川口市や東京都足立区など4市区で制定されているものの、都道府県単位では全国で初めて。大野元裕知事は閉会後、「県内にも拉致被害者の田口八重子さんであったり、被害者とされる方々が多くいる。一刻も早く日本に戻したい思いは一緒。被害者の救出や解決に貢献する条例」と所感を述べた。
補正予算の内容は、職員・学校職員の給料水準引き上げに伴って不足が見込まれる給与費66億4482万円▽県有施設の光熱費増額9億4407万円―など。補正後の24年度一般会計予算は2兆1361億3277万円となった。条例関係では、県が市町に卸す水道用水料金の額を1立方メートル当たり61円78銭から74円74銭に改定する。施行期日は26年4月1日で、値上げは27年ぶり。
■同様の条例、広がって
20日閉会した県議会12月定例会で自民党県議団(田村琢実団長)が提案した「拉致問題等の早期解決に向けた施策の推進に関する条例」が賛成多数で可決したことを受け、「北朝鮮に拉致された日本人を救出する埼玉の会(救う会埼玉)」(竹本博光代表)が同日、声明を発表した。
声明では昨年12月に条例制定を要請した理由として、拉致被害者と家族の高齢化、問題風化への懸念を挙げ、「この条例をモデルケースとして全国の都道府県に広がること、それが拉致を許さないという日本国の強い意志を示すことにつなげ、一日も早い解決の一助につながることを切に願う」と強調した。
川口市出身で、1978年6月に北朝鮮によって拉致された田口八重子さん=失踪当時(22)=の兄本間勝さん(80)は同会を通じ、「拉致問題の関心を高め、一日も早く被害者を救出できるよう願っている」とコメントを発表した。県議団と面会した竹本代表は「同様の条例が広がって、一刻も早い解決につながることを強く願う」と述べた。