埼玉新聞

 

愛娘を小児がんで亡くした母らが体験談 埼玉・川越の中学校、命の大切さ学ぶがん教育 生徒ら、目頭熱く

  • 「生命の授業」を真剣に受ける生徒たち=川越市立霞ケ関東中学校体育館

 健康と命の大切さを学ぼうと、川越市立霞ケ関東中学校(石川聖徳校長)は、3年間を通して、各学年ごとに内容を深めながら「がん教育」に取り組んでいる。

 1年生の講座では、生徒108人と保護者を対象に実施。NPO法人「くまがやピンクリボンの会」のメンバー3人が講師を務め、患者とその家族による体験談を伝えた。

 同市内では2019(令和元)年度、931人ががんで命を落とし、死亡原因の第1位となっている。若年性乳がんサバイバー(患者)として3人の子育てをしている笠原洋子さんは「10年生きることを目標としている」と語った。小児がんで愛娘を亡くした大崎幸恵さんは「利枝ちゃんの母として」とメッセージを伝えた。

 多くの生徒たちが目頭を熱くしながら聴き入っていた。中田善哉さん(13)は、「がんの奥深さを知りました。家族に検診に行くように勧めたい」。学年主任の島田祐介教諭(35)は「自分の人生を改めることになる貴重な内容だった。男性乳がんも初めて知った」と話した。

 1年次に続き、同校のがん教育は、2年次は教員が授業。3年次には埼玉医科大学総合医療センター緩和医療科の儀賀理暁教授を招き、講演会を開いている。

 石川校長は「命という字は心臓の鼓動をたたくという意味もあります。生きている奇跡に感謝しましょう」と締めくくっていた。

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