水道料金、51%値上げを答申…前回抑制分を上乗せで 埼玉県内で唯一、広域化された秩父地域の5市町の水道事業 「人口減少に伴う料金収入の減少、施設の老朽化などの課題に対応しつつ、将来世代に負担を負わせない経営重要」
2026年以降の秩父地域1市4町(埼玉県秩父市、横瀬、皆野、長瀞、小鹿野町)の水道料金改定について、諮問を受けていた秩父広域市町村圏組合水道事業経営審議会(会長・宇野二朗北海道大学大学院教授)は25日、平均51%の値上げを答申した。審議会は「前回の料金改定は、答申した値上げ率を大きく下回り、その分の料金が上乗せされたという事情がある」としている。
秩父地域の5市町の水道事業は、給水収益の減少や施設老朽化で自治体単独での事業実施が難しくなり、16年4月に統合して。10年間は広域化促進補助金として事業費の3分の1が国から交付されている。
19年12月に行われた広域化後の初の答申は、平均17・91%の料金値上げが伝えられたが、組合は各市町の値上げ率の格差などを考慮。「秩父市の料金改定に統一する」とし、21年4月に実施した料金改定率は平均0・25%の値上げにとどめていた。
今回の答申は、料金算定方法に総括原価方式を採用。算定期間は26~30年度の5年間、料金改定時期は26年4月、料金収入に占める基本料金の割合は35%とする―などを盛り込んだ上で、「著しい人口減少に伴う水道料金収入の減少や、施設の老朽化、激甚災害の備えなどの現在の課題に対応しつつ、将来世代に負担を負わせない経営が重要」としている。
現在の秩父地域の一般家庭の水道料金は、口径13ミリで1カ月20立方メートル使用すると、2カ月で税別3360円。51%に改定されると、同5720円となる見込み。
秩父市役所で組合管理者の北堀篤秩父市長に答申した宇野会長は「51%の値上げ率は全国的にも高い数値だが、前回の料金改定は、答申した17・91%の値上げ率を大きく下回ったため、その分の料金が上乗せされたという事情がある。水道事業を独立採算制でやっていくためには、理論的な数字」と説明した。
組合は来年1月以降の理事会で今後の方針を決め、広域議会と協議を重ねて料金改定するとしている。
北堀市長は「51%もの料金改定を地域住民に認めてもらえるとは思えない。人口減少が進むことで起こる水道事業の課題は秩父に限らず、全国の地方が抱えているはずなので、国にも補助金交付の制度化を進めてもらい、水をできるだけ節約できる供給方法を共に考えていかなければいけない」と話した。