埼玉新聞

 

最後の卒園生は11人 埼玉・幸手で唯一の市立幼稚園が閉園…43年の歴史に幕、1学年100人超の年も

  • 四季折々の思い出を絵に描き発表する卒園児ら

 幸手市内で唯一の市立吉田幼稚園(藤沼光市園長、園児数11人)が、43年の歴史に幕を閉じた。12日に開かれた卒園式と閉園式は、園児や保護者、職員らで行われ、思い出が詰まった学び舎との別れを惜しみつつ、新たな未来に向け羽ばたいた。

 同園は1979年、過疎地に住む幼児教育の場として、旧幸手町立吉田中学校跡地を利用して開園。84年に旧吉田第二小学校跡地に移転し、86年の市制施行により市立吉田幼稚園に改称。これまでに1644人が卒園した。1学年100人を超える年もあったという。少子化などの流れを受け、2018年8月に閉園を決定。最後の卒園生は11人となった。

 卒園式後に催された閉園式では、園児代表3人が演台に立ち、「友達と一緒にブランコで遊んで、笑いあったことを覚えています」「閉園になってしまうのは寂しいです。この幼稚園で過ごすことができてうれしかったです」などとあいさつ。春の運動会や夏のプール、秋の親子遠足など四季折々の思い出を描いた絵を園児一人一人が発表しながら、絵に合わせ歌詞を替えた「思い出のアルバム」を合唱した。

 続いて教諭らによる筝曲演奏も披露され、会に華を添えた。園児全員で「楽しかった幼稚園、今までありがとう」と声を合わせ感謝を述べた後、園児から園旗が園長に手渡され、園長から木村純夫市長へ返納。木村市長は「幼児教育は、その後の人間形成を培う大変重要な役割を担っている。今後の幼児教育にもしっかり取り組んでいきたい」と話した。

 藤沼園長は「43年の歴史ある幼稚園の閉園は寂しい思いがあるが、同園で教職を終えることができて良かった」と振り返り、山西実教育長は「過去を大切にしながらも未来志向でこれからの人生を歩んでいって欲しい」と卒園児らへエールを送った。

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