埼玉新聞

 

情感たっぷり、人形に命吹き込む郷土芸能 皆野で出牛浄瑠璃人形 眉や目など動かし、豊かな感情も表現

 皆野町金沢の萩神社の付け祭りとして、「第23回金沢地区つつじ祭り」が5日に同神社境内で行われ、江戸時代から続く郷土芸能「出牛(じゅうし)浄瑠璃人形」(県指定有形民俗文化財)が上演された。遣い手たちは呼吸を合わせて人形に命を吹き込み、巧みな人形さばきを披露した。

 出牛地区は江戸時代に宿場町で栄え、宿場の娯楽芸能で人形芝居がもたらされたといわれる。宿場の衰退後、1916年の上演を最後に中断したが、66年に復活の機運が高まり、青年たちを中心に保存会を結成。古老の指導を受け、約半世紀ぶりに復活した。

 特徴は3人で1体の人形を操る3人遣い。主遣いが左手で人形の首、右手で人形の右手を操作し、左遣いは人形の左手、足遣いは人形の両足を操る。練習を重ねないと人形の動きはそろわないが、息が合えば細かな表現ができる。

 上演した演目は「絵本太功記 尼ケ崎の段」。遣い手たちは約80~90センチの人形をダイナミックに操作した。眉や目、口などを動かしながら細かな表情をつけ、豊かな感情も表現。情感たっぷりに演じると、境内に集まった大勢の見物客から大きな拍手が送られた。

 保存会の四方田治男会長(74)は「後継者を育成して、できる限り続けていきたい」と話していた。

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