埼玉新聞

 

母親を浴槽に沈め、その次男は包丁で刺し殺害 無職男に懲役28年 身勝手だ…地裁「強い殺意で残忍」

  • さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 2018年2月、所沢市の住宅で女性(76)とその次男(53)=いずれも当時=を殺害し、知人男性(57)と共謀して死体を浴槽に遺棄したとして、殺人と死体遺棄などの罪に問われた、住所不定無職大谷竜次被告(46)の裁判員裁判の判決公判が18日、さいたま地裁で開かれ、小池健治裁判長は懲役28年(求刑・無期懲役)を言い渡した。

 判決理由で小池裁判長は、現場にあったシャツに付着した飛沫(ひまつ)血痕などから大谷被告が次男を殺害したと断定。背部を包丁で少なくとも24回突き刺していることから「強い殺意に基づく残忍な態様」と述べた。

 また、シャツに次男の母親のDNA型が付着していたことなどから、被告が母親を浴槽に沈めて溺死させたと結論付け、次男殺害の発覚を遅らせるための犯行は「短絡的で身勝手だ」とした。

 大谷被告の知人男性は、大谷被告と口裏合わせをしていたことや犯行状況から「少なくとも母親への殺害については被告と意思を通じて実行したことは間違いない」と指摘し、「共謀の上で母親への殺人を行った」と述べた。死体遺棄についても共謀して実行したことが認められた。

 判決によると、大谷被告は18年2月7~8日の間に所沢市の住宅で、大崎欣孝さんの背部などを複数回、刃物で突き刺し殺害。大谷被告の知人男性と共謀し、入江富美子さんを浴槽に沈めて溺死させ、大崎さんの遺体を浴槽に遺棄するなどした。

 知人男性は、2人への殺人と死体遺棄で逮捕され、殺人罪については処分保留となり、死体遺棄の実刑が確定し刑期を終えている。

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