埼玉新聞

 

停電しないように…暖房切って震えた人々 イオン、高島屋、工場、市役所も節電 外は雪、バス停は長蛇の列

  • 雪が降る中を道行く人々=22日正午ごろ、さいたま市浦和区のJR浦和駅東口

 桜の開花を目前に控えた季節に雪が降るほどの寒波が22日、県内を覆った。先週の地震で発電所が一部停止している最中の冷え込みに電力需給が逼迫(ひっぱく)。停電が発生する可能性も報じられ、県内の家庭や職場では照明や暖房を切るなど、寒さに震えながら節電に努めた。

 さいたま市浦和区のJR浦和駅周辺では22日正午ごろから、みぞれのような湿っぽい雪が断続的に降った。東浦和までバスで帰ろうとしていた70代女性は「乗り場に長い列ができていて困った」と苦笑い。普段この時間帯であれば並ぶことなく乗車できるという。暖かい日が続いていたため石油ストーブを片付けてしまい、「今シーズンはもう役目は終わったと思っていたけど、また(灯油を)買い足さなくては」と話した。

 宅配業者の男性は「雨対策はしていたが雪は想定外」とし、「これから夜にかけて積もるようなことがあれば配達に遅れが出てしまう」と懸念した。打ち合わせのために電車で浦和まで来た50代の会社員男性は、前日の天気予報で雪が降る可能性があることを耳にしていたが「本当に降るとは思わなかった」と驚いた。男性は午前中、自宅で仕事をしていたが、節電のため重ね着をして暖房はつけなかった。

 さいたま市役所では、節電のため朝から不要な照明を落とし、窓口のある1階の一部を除く庁舎内全ての暖房の使用を見送った。また、市はホームページやツイッターで節電への協力を市民に呼び掛けた。

 電力需給の逼迫を受けて、県内の商業施設でも対応に追われた。イオンリテールでは、東京電力から節電の要請を受け、県内を含めた東電管内にある約130店舗で空調温度を1~2度下げ、店内放送で利用客に節電対策に協力を呼び掛けた。

 商用車メーカーのUDトラックス(上尾市)は自社工場で、空調温度20度以下での運用、不急設備の稼働停止、不要エリアの照明の消灯の措置を取った。

 大宮高島屋(さいたま市大宮区)では、事務所や休憩所などで不要な電気を消すことで平常時より消費電力を2割ほど抑えたという。県内の他の百貨店などでも事務所などで小まめな消灯などで節電に努めた。

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