女児死亡…生後3カ月で衰弱、父親の暴行でミルク飲めない体に 5人家族の事情、浮かび上がった盲点
2022/03/26/00:00
美里町で2020年9月、衰弱した生後3カ月の女児が両親に放置され死亡した事件について、県児童虐待重大事例検証委員会は報告書を提出し、25日に県が公表した。町や児童相談所などが家族の支援に関わっていたにもかかわらず事件が起きたことについて、報告書は「認識共有が不足していたのではないか」と課題を指摘。再発防止策として複数の機関が関与する場合は共同して評価を行うことなどを提言した。
報告書によると、家族は両親と保育所在籍の異父姉、双子の姉、女児の5人世帯。20年3月に父親が定期的な訪問を拒否し、その後は家庭訪問をできなかった。改善策として、「複合的な問題を抱える世帯は多角的に調査して俯瞰(ふかん)する視点を持つことが必要」とし、安全確認が行えない場合の対応を具体的に設定することなどを挙げた。
また関係機関へのヒアリングの結果、児童相談所が母親の結婚を異父姉への虐待リスクが高まったと認識して「双子(実子)には手を出さないだろう」と考えていたことや、保健センターの健康観察で双子の体重に約600グラムの差があったが、理由を確認しなかったことを明らかにした。
事件は父親の暴行によりミルクを飲むことが困難になった女児が低栄養状態で放置され、適切な医療措置などを与えられずに死亡した。
県こども安全課は今後の対応として「関係機関と報告を共有し、ケースの経験値が少ない場合は研修などを行って職員のスキルアップを図る」と話した。検証委は昨年9月に第1回が行われ、計4回実施した。