人気の地ビール工房休業へ ビアカップで金賞も…埼玉・羽生ブルワリー、有終の美飾り22年の歴史閉じる
羽生市三田ケ谷の農林公園「キヤッセ羽生」を運営する第三セクターの「羽生の里」(甲山浩社長)は、公園内の地ビール工房・羽生ブルワリーを5月いっぱいで休業にすることを決めた。ビールファンにおなじみの「こぶし花ビール」の製造元で、22年の歴史をいったん閉じる。
ビール工房の創業は2001年。公園開園と同時に始めた。同市と姉妹都市のベルギー・デュルビュイ市がビール造りで有名なことから刺激を受けた。ビール醸造責任者で工場長の市岡慎司さん(59)が職人気質を発揮してきた。
甲山社長は「公園のシンボルツリー・コブシの花から名付けたこぶし花ビールは、市岡さんの職人のこだわりが詰まっていて、味わい、喉越しで長く人気を集めてきた」と、労をねぎらった。
市岡さんは5月22日に60歳で定年退職。甲山社長は「市岡さんの退職や、新型コロナウイルスの周期的な感染拡大による売上げ不振、製造施設の老朽化などの理由から、苦渋の選択で製造・販売の中止を決断した」とつなげた。
市岡さんは長野県飯田市出身。飯田市では「いいだビール」の開発も手掛けている。ビール職人歴は26年。「羽生市に住んで22年目。恵まれたビール工房で仕事ができて、市にもファンにも感謝している。定年後は長野に帰る」と話した。
市岡さんのこだわりは、鑑評会に欠かさず出品したことでも分かる。昨年9月には日本地ビール協会主催のインターナショナル・ビアカップ2021(会場横浜市)で、ピルスナーが金、プレミアムIPAも金、ゴールデンラガーが銀に輝いた。
「ピルスナーは、ヨーロッパのいろいろなタイプのラガービールを集めた中でもナンバーワンで、カテゴリー・チャンピオンになることができた」と市岡さん。“有終の美”を飾ることができた。
工房の業務は5月いっぱいまで行う。首都圏への卸売りは4月末まで。キヤッセ羽生内のレストランむじな庵、むじなも市場での販売は在庫終了で終わりになる。