埼玉の新成人、7万119人…5年連続の減少、ピーク時の53・7%に 県内各地で成人式 「自分が決めた道を信じ」若者ら、進学・就職で都心へ…同級生「いつか戻ってきてくれたら」 前年度比16人減、減少率1位は
2025年に成人式を迎える埼玉県内の二十歳の「新成人」は、前年より135人減の7万119人(24年11月1日現在)で、5年連続の減少となったことが県教育局の調査で分かった。自治体別では全63市町村のうち、前年比で減少したのは所沢市や越谷市など33市町、増加はさいたま市や川口市など29市町村で、上里町は前年と同数だった。県内の成人式は12、13日に全市町村で行われ、12日は47市町村、「成人の日」の13日は16市町で実施される。
県内の新成人の数は1993年の13万613人をピークに減少を続けており、本年度には7万119人とピーク時の約53・7%まで減っている。
同局生涯学習課によると、自治体別の人数では、さいたま市が1万2830人で最も多く、最少は東秩父村の20人だった。増加率が最も高かったのは嵐山町の18・1%(前年度比28人増)で、減少率は横瀬町が22・2%(同16人減)で最も高かった。
2022年4月に、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことから、成人式は各市町村で「二十歳のつどい」や「20歳を祝う会」といった名称で行われるようになり、式典のみを行うのは24市町村、式典と合わせて記念行事などの催しを実施するのは33市町となった。新成人が実行委員会を組織して式の企画・運営に参加しているのは50市町で、そのうち29市町では新成人が式を主催している。
式典と合わせた催しの最多は「恩師の言葉・ビデオメッセージ」で、「記念撮影」「成人者の抱負」と「フォトスポットの設置」と続いた。記念品を贈る自治体は43市町村で、記念写真を贈る自治体が13市町と最も多くなっている。
所沢市や越谷市、久喜市など6市町が複数の会場で式を実施する。
■少子化進む長瀞町 「心苦しいが」生活拠点を都内に
長瀞町は「二十歳の集い」を、参加者の母校である町立長瀞中学校の体育館で開催した。本年度に20歳を迎える若者約60人が、華やかな振り袖やはかま姿で出席。恩師たちも祝福に駆け付け、思い出の詰まった学びやに再び笑顔の輪が広がった。
少子化が進む同町は、本年度から小学校2校を1校に統合。町内小中学校は各1校だけになった。毎年の二十歳の集い(旧成人式)の対象者は、ここ5年間は50~70人台が続いている。
大学進学とともに、生活拠点を都内に移した坂本圭杜(けいと)さん(20)は「母校がなくなってしまったり、町が廃れてしまうのは心苦しいが、就職のことを考えると、都心へ移る若者が多い。自分が決めた道を正解だと信じ、地元の方々に感謝しながら成長していきたい」と熱く語った。
同町から短大に通っている鷲沢あずさ(20)さんは「同級生が町を離れてしまうのは寂しいけれど、みんながそれぞれ活躍し、いつか地元に戻ってきてくれたらうれしい」と話していた。
■県内最少、対象は20人 東秩父村、16人が出席
県内唯一の村として知られる東秩父村の「二十歳のつどい」が、村コミュニティセンター「やまなみ」大ホールで行われた。県内最少となる対象20人中、16人が出席した。参加した男性9人は全員がはかま姿で参加して喜び合い「新鮮な気持ち」「テンションが上がります」と話していた。
式典で高野貞宜村長は「失敗を恐れず、柔軟な発想力で新しい時代を切り開いてほしい」と式辞。成人を代表して大学生の根岸優我さんは「私たちも社会の一員、一人の大人として与えられる人から与える人へ変わっていこうと思います」とお礼の言葉を述べた。同級生らにも「一人一人の個性、らしさを存分に生かして、これからの人生を楽しもう」と呼びかけた。
中学校の学年主任だった原川実さん(68)は授業や部活動、文化祭、体育祭などの様子を約4分間のスライドにまとめて祝った。16人は中学校での生活を思い出したようで懐かしそうに見入っていた。