子育て女性の悩み、打ち明けてリフレッシュを 埼玉・越谷香取神社でマルシェ 子育てママが経験踏まえ企画
安産や子授けに御利益があるとされる埼玉県越谷市大沢の越谷香取神社。普段は厳かな雰囲気漂う境内だが、毎月第3金曜日はママや赤ちゃんでにぎわう。この日は月に1度開催する「神社deままマルシェ」。子育て女性の悩み共有と癒やしを目的に、雑貨や美容、飲食など約30店舗が並ぶ。「育児の悩みを決して一人で抱え込まないで」と、市内の子育てママが自身の経験を踏まえ企画した。
■縁日の雰囲気
3月の第3金曜日に当たる18日。正午近くになると、境内は多くのベビーカーが行き来した。きらびやかなハンドメードアクセサリーを眺めたり、アロマスプレーを試したり…。このイベントの“主役”は0~3歳児を子育て中のママ。タロット占いやネイルサロンなど、女性の喜びそうな店舗がずらりと並ぶ。中には地元農家の野菜即売や熱々グルメキッチンカーも登場。一般客も自由に参加でき、境内はまるで縁日のような雰囲気に包まれる。
運営するのは越谷市北越谷の増田具子さん(45)。ウェブ制作会社を経営する傍ら、5歳の長男を子育て中だ。実行委員会スタッフは増田さんを含め女性4人で、全員が子育てをしている。
■イメージと違い
増田さんは39歳の時に長男を出産した。子育てに対して漠然と、幸せで明るいイメージを持っていたが、いざ始まると全く別の世界。自分の時間は持てず、外出して子どもが泣くと周囲から白い目で見られる経験もあった。親身に相談できるママ友もいなく、孤立感に襲われる日々。「自分が社会から迷惑な存在に感じた。育児は休みなく毎日続く。外にも気軽に出られず、精神的に追い込まれていった」と振り返る。
「ママが堂々と羽を伸ばせる場を。そして私と同じように育児で孤立するママを助けたい―」。そんな思いが徐々に芽生え始めた。吉川市のマルシェに参加した楽しい経験がきっかけとなり「越谷版マルシェ」を模索。仕事で培った会員制交流サイト(SNS)スキルを生かして呼び掛けると、多くのママが賛同。市からの助成金も活用し、2019年6月、初開催にこぎ着けた。
■名物イベントに
ホームページで出店者を毎回募り、出店料(千円~)を宣伝費や運営費に当てる。マルシェはこれまで延べ25回開き、1回当たり平均約400人が来場。すっかり越谷の名物イベントになった。
垣根を超えた支援も大きな後押しとなった。SNSを通じて増田さんらの思いに賛同した大手企業が、粉ミルクやおむつの試供品を提供。イベント当日はママさんに無料配布する。開催日は神社近辺の商店街が備品や駐車場を貸してくれ、大学生もボランティアで参加。境内の神楽殿に設けられたサロンで託児を手伝う。「みなさんの協力があってここまで続けてこられた。本当に感謝」と増田さんは頭を下げる。
今は15日の開催に向け準備を進める(午前10時~午後2時)。楽しむ要素以外に、今後は互いの悩みを打ち明ける「お話相談会」の充実にも力を入れる予定だ。増田さんは「毎年誕生する新しいママさんに孤独な育児をしてほしくない。この空間がリフレッシュできる場になれば」と期待。そして「育児の喜びも悲しみもこのマルシェに持ってきて、みんなで共有しましょう」と話している。
当日の来場や出店に関する詳細は、同マルシェホームページ参照。
問い合わせは、増田さん(電話048・984・7256)へ。