埼玉新聞

 

桜が満開、コロナ発生から3度目の春 イベント縮小、宴会自粛呼び掛けも…埼玉の花の名所、予想上回る人出

  • 桜が満開を迎え、大勢の来場者でにぎわう「熊谷さくら祭」の会場=2日午前、熊谷市の熊谷桜堤

  • 片側通行で花見を楽しむ大宮公園の利用者ら=2日、さいたま市大宮区

 桜が満開となり、県内各地の花の名所は大勢の人出でにぎわっている。まん延防止措置が解除されても、新規感染者は依然として連日3千~4千人台で推移。公園などでは、宴会の自粛を呼び掛けたり、出店数を減らしたりと注意を払うが、予想以上の行列ができた。新型コロナウイルスの発生から3度目の春。再拡大の不安は残るが、市民は青空に散る桜の花びらを見て、つかの間心を癒やした。

■駐車場は満車

 熊谷桜堤は荒川沿いの約2キロに咲く約500本のソメイヨシノが満開で、菜の花も咲き誇る。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりとなった「熊谷さくら祭」も例年より規模縮小で開催されている。

 設置されているぼんぼりは例年の約90個から約50個に減らし、ライトアップの時間も月曜から木曜は通常より1時間早い午後8時までに短縮(金、土、日曜は同9時まで)。露店も例年は約70店が出店しているが、今年は約55店に縮小。酒類の提供はしておらず、飲食スペースを設けていない。

 主催する市観光協会は来場者にマスク着用やソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保、大人数での飲食や宴会の自粛を呼び掛けている。だが、予想を上回る人出で、2日も荒川河川敷に用意した約250台の臨時駐車場が満車状態になり、渋滞が発生する場面も。担当者は「さくら祭の広報物は製作せず、ホームページ(HP)での告知にとどめたが、まさかこれほど多く来るとは」と驚く。

 市内から訪れた栗原美咲さん(40)は「予想よりにぎわっているなという印象で、人が多いなと思った」と語った。深谷市から訪れた近藤有二さん(71)は「コロナがまた増えてきたけど、もうまん延防止の重点措置をやっても効果がないのでは」と話した。

■昨年より開放的に

 連日の悪天候から一転し花見日和となった2日、県内の桜の名所には見頃の桜を満喫しようと多くの人が訪れた。

 さいたま市大宮区の大宮公園では昨年同様、人混みができないように一部の園路を一方通行としたが、新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置が3月21日に終了したことを受け、同居家族なら飲食も可能とした。同市見沼区などの見沼田んぼから同公園まで花見と散策を楽しんだという神奈川県の主婦依田ふさ子さん(70)は夫と二人で池のほとりに腰を下ろして軽食をつまみ、「飲食はできないと思っていたからびっくり」とつぶやいた。「こんな広い所で花見をするのは初めて。見沼田んぼの桜も素晴らしかったし、良い所」と笑みをこぼした。

 さいたま市岩槻区の岩槻城址公園では花見客がテントを張ったりカメラで絶景を撮影したりして思い思いに開放的な空間を楽しんでいた。朱塗りの橋のたもとで幼い子どもたちと家族写真を撮っていた区内の会社員男性(32)は「最近の雨で少し散ってしまったのが残念だったけど、それでもきれい。子どもたちも楽しそう」と満足そうだった。

 大野元裕知事は2日、都内で報道陣に、重点措置による要請は解除されたことを強調しつつ、花見などについては「4月は医療機関でも異動の時期で手薄になるので、密になることやリスクの高い場所は避けてほしい」と対策を呼び掛けた。

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