埼玉新聞

 

殺処分ゼロへ 県が保護猫ボランティア募集「力を貸して」 新たな飼い主への譲渡目指す

  • 県は保護された子猫を一時的に預かり、授乳などの世話をする「ミルクボランティア」を募集している(県提供)

 犬・猫の「殺処分ゼロ」を目指す県は、県の施設に収容している子猫を一時的に自宅で預かり、授乳などを行う「ミルクボランティア」制度を今年から始めた。募集人員は15人程度で、ボランティアの手で成長した子猫は、県動物指導センターを介して新たな飼い主への譲渡を目指す。11日には県庁で県主催の保護犬・猫の譲渡会が開かれる。

 生活衛生課によると、2017年度の県の犬猫殺処分数は913匹(犬241匹、猫672匹)で、猫が犬の2・8倍も多い。殺処分された猫のうち、半数以上の391匹(58・2%)が授乳が必要とされる子猫だった。

 同課によると、県で犬猫合計の殺処分数が最も多かったのは、1985年度の4万3548匹(犬3万3315匹、猫1万233匹)。同年度と17年度を比較すると、犬の殺処分数が1%未満まで減少したのに対し、猫は6・6%で、減少率に開きがあった。殺処分対象は主に野良猫の子どもとなっている。

 生後間もない子猫は健康を維持するため、数時間ごとの授乳が欠かせないという。保護施設では担当職員の勤務時間外となる夜間にミルクを与えられないなど、細やかな対応が課題となっていた。

 ミルクボランティアは、生後2週間~1カ月程度の子猫を預かり、離乳するまでの同2カ月程度まで、2~3時間ごとの授乳や排せつ補助、健康チェックなどを担う。

 ボランティアの条件は、(1)子猫の授乳、排せつ補助などの経験がある(2)健康(動物アレルギーがない)な20歳以上(3)県内で子猫の育成が可能な施設に居住(4)終日子猫の世話が可能(5)子猫の送迎、資材の運搬が可能―などとしている。

 応募者を対象に講習会と面接を実施する。ミルクや食器などは現物支給される。同課は「大変な作業だが、殺処分ゼロに向けて力を貸していただきたい。協力していただくことで、新たな譲渡の道が開ける」としている。

 県は、5カ年計画で21年度までに「殺処分数600頭」に減らすことを目標に掲げ、最終的に殺処分ゼロを目指す。17年度からこれまで3回譲渡会を開き、49匹(犬15匹、猫34匹)が新しい飼い主に渡された。

 県はその他、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術の助成事業を行う市町村に、費用を補助する事業なども行い、殺処分ゼロを目指す。

 ミルクボランティアに関する問い合わせは、県動物指導センター本所(電話048・536・2465)へ。

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