【東京ウオッチ】円熟期の鮮やかな色彩、五感呼び覚ます―パナソニック汐留美術館でル・コルビュジエ展 いまのTokyoをつかむイベント情報(18日~26日)
◎今週の一推しイベント
【18日(土)】
▽「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930―1965」(~3月23日、港区・パナソニック汐留美術館)
近代建築の巨匠ル・コルビュジエが、円熟期に当たる1930年代以降、絵画や彫刻などの芸術作品を建築空間で総合的に表現した活動に注目した展覧会が、汐留で開催されている。
南フランスなどの海岸で集めた貝殻や流木など自然の中の素朴な対象物をモチーフとして取り入れた鮮やかな色調の絵画やタペストリー、ダイナミックな彫刻など約90点を紹介。学芸員の大村理恵子さんは「米国で始まった世界恐慌をきっかけに、工業的なものから有機的な要素へと関心が移っていった。幻想的なシュルレアリスムの影響も受け、具象的な身体や自然をデフォルメして表現しているのが円熟期の芸術の特徴だ」と言う。
建築家にとって重要だった触感にスポットを当てた彫刻「手」は「与え、受け取る」行為を表現し、人間の五感を呼び覚ますような作品。第2次大戦で破壊された中世の教会を再建した「ロンシャンの礼拝堂」の模型も展示した。直線的で幾何学的な印象を与える前中期の建築との大きな違いを感じさせる。「屋根には反り返ったカニの甲羅の曲線を模した。教会の外の野外礼拝の場から周囲の環境へ神父の声が反響する。自ら“音響的形態”と呼んだ彫刻作品の延長線上にある後期の代表的な建築作品だ」
2度の世界大戦を経験しながら人類に調和の時代が訪れると確信していたという。3連画として展示した「牡牛☆(ローマ数字10)☆(ローマ数字6)」「牡牛☆(ローマ数字10)☆(ローマ数字8)」「牡牛」は人間の生命力や希望を表すような色彩にあふれている。「晩年はテクノロジーの発達にも関心を示した。常に進歩しようとしたル・コルビュジエの勇気を、明るい色の作品から感じてほしい」
ゲストキュレーターにドイツの美術史家ロバート・ヴォイチュツケさんを迎えた。ワシリー・カンディンスキーなど同時代の抽象画家の共鳴し合う作品を展示し、“芸術家”ル・コルビュジエの姿を浮かび上がらせている。
○そのほかのお薦めイベント
【18日(土)】
▽「On Kamiko―紙衣によせて―」(~28日、入場無料、中央区・ISSEY MIYAKE GINZA445「CUBE」)
和紙や紙素材から着想された「イッセイ ミヤケ」の2025年春夏コレクションにまつわる特別展が、銀座で行われている。
昨年秋に開催されたパリコレクションの会場では「The Beauty of Paper」をテーマに、麻の繊維から作られる「麻紙(まし)」を素材とした「紙衣(かみこ)」を披露し、大きな話題を呼んだ。
東京の展示場ではパリコレの映像を上映。床、天井、壁を白い和紙で覆い、麻紙で制作されたコートとジャケット、バッグの発表作品5点を引き立たせている。
鑑賞者は作品に直接触れられ、昔の日本で衣服に用いられていた和紙の柔らかな手触り、自由自在な動きを発見できる。
伝統的な「麻紙」の製作過程を捉えた映像は、栃木県の工房で収穫・加工された希少な国産麻をもとに、1300年の歴史を持つ徳島県の工房が手すきの和紙を折り、何度ももみほぐす作業を紹介。ものづくり現場の人々の声を通して、ブランドが紙素材への探求に至った背景を伝えている。
デジタル時代だからこそ、紙の触感が人の感情や身体にもたらす“あたたかさと喜び”を実感できる展示空間となっている。大阪市でも26日まで開催。
▽「和光 2025年バレンタイン」(~2月14日、中央区)
バレンタインに向けた限定ショコラやスイーツが、銀座の和光アネックス店頭で発売される。
注目は、伝統の生チョコレート“ショコラ・フレ”の詰め合わせだ。カカオの豊潤な香りと、世界各地の厳選素材を組み合わせた。オーストラリア産の塩を使った「サレ」など、新作フレーバー5種の詰め合わせも。真っ赤な箱がバレンタイン気分を高めてくれる。
【20日(月)】
▽「メンタルヘルス講座~人間関係の悩みと向き合う~ 『第1回 不機嫌という名の暴力~モラルハラスメントとは~』」(14時、入場無料、事前予約制、豊島区男女平等推進センター〈エポック10〉)
女性問題専門のカウンセラーとして活躍している高山直子さんを講師に迎え、モラルハラスメントを巡る講座が池袋で開かれる。
繰り返される不機嫌な態度は、相手を萎縮させ支配するからくりがある。こうしたモラハラの実態について学び、人間関係で悩みのある参加者たちが、加害者にも被害者にもならないための知識を獲得する。
【24日(金)】
▽「The TOWER BAR―Winter―」(~2月24日、港区)
東京タワーを望みながら和文化を体験できる冬限定の絶景バーが、芝公園の「ザ・プリンス パークタワー東京」にオープンする。
屋外の庭園には、「関東のお伊勢さま」と呼ばれる芝大神宮が発表した2025年の強運カラー6色をあしらった和傘を飾った。雪が降っているように動くライト、輝くうさぎの照明で装飾され、フォトスポットとしても楽しめる。室内では庭園を眺めながらオリジナルカクテルを味わえる。
芝公園エリアに点在する歴史ある寺社巡りができるように、御朱印帳もオプションで用意。今年の開運を願いながら散策が楽しめるだろう。