埼玉新聞

 

中学校では全国唯一、埼玉・川口の安行中が文部科学大臣賞に 「全日本学校歯科保健優良校表彰」 スターダスト☆レビューの「歯をみがこう!」を校内放送、給食後に全員が歯磨き 虫歯ある生徒ゼロ

  • 給食後、校内放送に合わせて歯を磨く生徒たち

    給食後、校内放送に合わせて歯を磨く生徒たち=12月、川口市安行原の市立安行中学校

  • 給食後、校内放送に合わせて歯を磨く生徒たち

 埼玉県の川口市立安行中学校は日本学校歯科医師会実施の「全日本学校歯科保健優良校表彰」で中学校では全国唯一、本年度の文部科学大臣賞に選ばれた。自分の口腔(こうくう)内の健康状態を理解し、歯と口の健康を保持増進する態度や習慣を身に付ける取り組みが評価された。同校の虫歯がある生徒はゼロ。取り組みには「歯磨きを通じ、中学生のうちから自身の健康な体づくりを考えてほしい」との思いが込められている。

 同校では給食後、全生徒、全教職員の歯磨きタイムが設けられている。校内放送では県歯科医師会がスターダスト☆レビューと制作した「歯をみがこう!」(作詞・スターダスト☆レビュー、作曲・根本要)が流れ「歯をみがこう、歯をみがこう、歯をみがこう、むし歯に負けないように、朝昼晩、朝昼晩…」の歌詞のもと、全員が飛沫(ひまつ)が飛ばないよう口を閉じ歯を磨く。

 同校保健委員会委員長で2年生の田坂真維さんは「学校全体をまとめるのが大変でした。保健委員会として、歯磨きも学校の活動もしっかりし、皆の見本にならないと。部活や勉強などにもやる気が出た気がします」と話す。

 同校が食後の歯磨きに本格的に力を入れ始めたのは、新型コロナウイルス感染症が収まり始めた2022年度から。「歯と口からはじめる健康づくり」をテーマに、さまざまな理由で、食生活や生活習慣が乱れがちな中学生の健康を口腔衛生から支えようと、学校歯科医の指導の下、教員も一緒に取り組みを進めた。

 小出喜代子校長は「『たかが歯磨き』かもしれませんが、チームとして全校で取り組み、習慣化することで、中学のうちから歯磨きを通じ、自分の健康を考えられるようになってほしい」と話す。

 しかし、当初は「マスクを外したくない」などの理由で、取り組みはなかなか進まず、保健委員だけが歯を磨いているクラスもあったという。そうした中、三ツ井有希養護教諭が頻繁に朝の会や給食後の教室を回り、口腔の健康が全身の健康と関連があること、歯磨きで口の中の菌を減らすことが健康維持につながることなどを説明。合わせてこうした取り組みを家族に伝えてもらうことで、習慣を1年がかりで定着させていった。

 現在、同校735人の生徒のうち、虫歯がある生徒はゼロで治療率は100%。県外中学校から、取り組みへの問い合わせもあるという。学校歯科医が年に7回、学校で検診や指導を行うほか、教員には歯科を受診するための休暇取得も認めている。

 同校保健委員会副委員長で2年生の千葉洋輝さんは「今では生徒が自主的に歯磨きをしている。歯磨き実施率は100%。歯磨きをしていないと恥ずかしいと思うようになった」と習慣の定着を強調。保健委員会の田坂さん、千葉さんに虫歯の有無を尋ねると2人は「ありません」と白い歯で笑顔を見せた。

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