埼玉新聞

 

【速報】原発避難訴訟、国の責任を棄却 さいたま地裁が判決…規制権限で事故を回避できたとは認められない

  • さいたま地裁、国の責任を棄却

 東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされたとして、福島県から県内に避難した被災者28世帯95人が、国や東電に計約11億円の賠償を求めた集団訴訟の判決が20日、さいたま地裁であった。岡部純子裁判長は、東電の責任について「個別の事情を考慮し、事故と因果関係の認められる精神的損害の範囲を検討すべき」と、63人に計約6500万円の賠償を認めた。一方、国の責任については「規制権限を行使せず重大な責務を果たしたとは言えないが、行使したとしても事故を回避できたことは認められない」と、被災者側の請求を棄却した。

 訴状などによると、被災者側は原発事故の影響で放出された放射能汚染により避難を余儀なくされ、多くの損害を受けたとして国と東電に賠償を請求。国には「津波が来ることを予見できていたのにも関わらず、東電に規制権限を行使しなかった」と主張していた。

 国と東電に賠償を求める訴訟は各地で起こされ、一部は最高裁で東電の敗訴が確定している。一方、国の責任は1、2審で判断が分かれ、最高裁が近く統一判断を示すとみられている。

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