埼玉新聞

 

水抜き大規模点検 利根川と荒川つなぐ武蔵水路 埼玉・行田 全長は14・5キロ 安全な通水へ適正管理

  • 空水点検が公開された武蔵水路=21日、行田市長野

    空水点検が公開された武蔵水路=21日、行田市長野

  • 空水点検が公開された武蔵水路=21日、行田市長野
  • 中性化試験の実演と説明も行われた
  • 建設以来、初めて水を抜いて点検した武蔵水路の長野サイホン

 水資源機構利根導水総合管理所は21日、行田市長野で武蔵水路の空水点検を報道陣などに初めて公開した。同管理所は、大規模点検をおおむね10年に1回実施。水路は2016年に完了した改築工事で2連化され、壁を隔てた2本の水路が並行する構造となり、片側の水を抜いて調査することが可能となった。

 武蔵水路は行田市と群馬県にまたがる利根大堰(ぜき)で取水された利根川の水を、鴻巣市で荒川へ導水する全長約14・5キロの水路。県内や東京都に水道水などを供給し、水路周辺地域の洪水被害を防止、軽減させる機能も持つ。今回の大規模点検は7日から27日までの日程で、右側の水路を止めて進めている。

 道路や鉄道の線路と立体交差する部分は、サイホンと呼ばれるトンネル状の流路となっている。武蔵水路に8カ所あるサイホンのうち、1968年の水路完成以来初めて、2カ所で空水点検を実施。この日は、長野サイホンを調査する様子が公開された。

 県道128号の下をくぐる同サイホンは長さ32メートルで、3・5メートル四方の正方形トンネルになっている。同サイホンや周辺では、コンクリートの強度を小さな鉄球で打撃を与えるシュミットハンマーを使って調べたり、薬剤を注入して劣化の程度を判定する中性化試験を行ったりした。

 これまでのところ、水路は健全な状態だという。同管理所第一管理課の辻本昌弘課長(45)は「365日にわたり、水を完全に止めることができない重要施設。安全な通水ができるよう、今後も適正に管理したい」と話した。

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