水抜き大規模点検 利根川と荒川つなぐ武蔵水路 埼玉・行田 全長は14・5キロ 安全な通水へ適正管理
2025/01/27/09:15
水資源機構利根導水総合管理所は21日、行田市長野で武蔵水路の空水点検を報道陣などに初めて公開した。同管理所は、大規模点検をおおむね10年に1回実施。水路は2016年に完了した改築工事で2連化され、壁を隔てた2本の水路が並行する構造となり、片側の水を抜いて調査することが可能となった。
武蔵水路は行田市と群馬県にまたがる利根大堰(ぜき)で取水された利根川の水を、鴻巣市で荒川へ導水する全長約14・5キロの水路。県内や東京都に水道水などを供給し、水路周辺地域の洪水被害を防止、軽減させる機能も持つ。今回の大規模点検は7日から27日までの日程で、右側の水路を止めて進めている。
道路や鉄道の線路と立体交差する部分は、サイホンと呼ばれるトンネル状の流路となっている。武蔵水路に8カ所あるサイホンのうち、1968年の水路完成以来初めて、2カ所で空水点検を実施。この日は、長野サイホンを調査する様子が公開された。
県道128号の下をくぐる同サイホンは長さ32メートルで、3・5メートル四方の正方形トンネルになっている。同サイホンや周辺では、コンクリートの強度を小さな鉄球で打撃を与えるシュミットハンマーを使って調べたり、薬剤を注入して劣化の程度を判定する中性化試験を行ったりした。
これまでのところ、水路は健全な状態だという。同管理所第一管理課の辻本昌弘課長(45)は「365日にわたり、水を完全に止めることができない重要施設。安全な通水ができるよう、今後も適正に管理したい」と話した。