埼玉新聞

 

道路陥没…トラック転落、生存率下がる72時間が経過 運転席は下水管に落ちた可能性も 救助のスロープ造成、掘削中にコンクリートガラ…作業工程増え、重機進入は1日夕方になるか 2日には雨か雪の見込みも

  • 救出活動が続けられている県道陥没事故の現場

    救出活動が続けられている県道陥没事故の現場=31日午後4時20分ごろ、八潮市二丁目

  • 救出活動が続けられている県道陥没事故の現場

 八潮市の県道交差点で道路が陥没し、トラックが転落した事故は31日、災害現場で不明者の生存率が下がるとされる72時間が経過した。運転手とみられる男性の救出活動と並行し、地元消防や県は穴に流れ込む地下水などの流入を抑える薬液の注入など対策工事を進めた。

 救助活動の重機が入れるように31日中の完成を目指していた幅4メートル、長さ30メートルのスロープは、掘削の段階でコンクリートのガラが見つかり、取り除く工程が増えた。地盤改良は土に石灰やセメントを混ぜて強度を出すため、重機の進入は1日の夕方ごろになる見込み。

 陥没の穴は、28日午前の発生から徐々に拡大。30日未明には二つの穴が一つになり、消防の調べで穴の大きさは幅約40メートル、深さ最大約15メートル。消防によると、そのうち土砂やがれきが約8メートルほど積み上がっている。穴の下には直径約5メートルほどの下水管が通っており、男性が乗っているとみられる運転席が下水管に落ちた可能性もあるとした。現場付近の路面下空洞調査では、警戒区域内にも危険が生じる空洞は認められなかったと発表し、新たな陥没が起きる可能性は低いと分析。レーダーに小さな反応があった数カ所は、1日から開始する予定の詳細調査で空洞の有無を確認する。

 現場への汚水の流量を減らすため、春日部中継ポンプ場より新方川を経由して中川へ行っている放流は、31日午後3時から汚水の影響を減らすために新方川上流水路へ希釈水の放流を開始した。

 気象台によると、2日は低気圧の影響で平地でも雪が降り、八潮市では2日午前中と夕方以降に雨か雪となる見込み。朝晩を中心に1~2センチの積雪が予想され、2日から3日の予想総降水量は15ミリ。中川流域下水道は汚水と雨水を分けるシステムが採用されているものの、雨などで流量が増えることも懸念される。

 北田健夫下水道事業管理者は「現場に到達する汚水を絞り、作業ができる環境を整えられている。あふれ出ることを回避できているのは、120万人の協力によるものだと感謝している」と話した。

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