埼玉新聞

 

道路陥没…スロープ工事完了 救助への環境整うも内部の水の影響で作業中断 雨の影響で水量増加が懸念、引き続きの節水呼びかけ

  • 事故現場を視察する大野元裕知事(前列右)=1日正午ごろ

    事故現場を視察する大野元裕知事(前列右)=1日正午ごろ

  • 事故現場を視察する大野元裕知事(前列右)=1日正午ごろ

 八潮市の県道交差点で道路が陥没しトラックが転落した事故で、県は1日、陥没現場に取り残され、安否不明の男性の救助活動を行う重機を投入するためのスロープが完成し、本格的な救助への環境が整ったとした。

 県や消防などは穴の中のがれきなどを撤去し、消防隊員らが手作業で男性の捜索を検討していたが、同日夜、穴内部の水の影響で、作業が2日午前9時まで中断されることが分かった。

 陥没してできた穴は事故当初から拡大し、消防の調べでは幅約40メートル、深さ最大約15メートル。そのうち土砂やがれきが約8メートルほど積み上がっている。大量の水の流入が救助の妨げになっていたが、1日にはほぼ収まった。しかし、穴の中には依然として水たまりが確認できることから、慎重な作業が要求されるという。

 県はがれきの撤去や男性の救助には一定の時間がかかるとした上で、環境が整い次第下水管の応急復旧に向けた工事を進める方針。管の破損部分をふさぐなどの処置をした上で、下水管としての機能を保つことができれば、現在呼びかけられている12市町への下水道使用自粛について、着工から1週間前後で解消するとの見解を示した。しかし、破損状況の詳細は未確認で、状況によっては先送りになる可能性もあり、生活への影響の中長期化は避けられなさそうだ。

 大野元裕知事は1日午前、大山忍八潮市長と陥没現場を視察。「非常に厳しい状況」と感想を述べ、現場で作業する関係者に対し「二次災害を避けながらも急がねばならない状況。巻き込まれた方や近隣住民らの生命や財産が懸かっている。最大限の努力を」と激励したとした。

 県は2日から、道路陥没箇所の復旧工法を検討する委員会を開催するほか、今後下水管の管理などに問題があったか調査する第三者委員会を設置する方針を示している。

■降雪予報で節水喚起

 熊谷地方気象台によると、八潮市は2日午前に雨や雪が降る可能性があり、2日の予想総降水量は10ミリ。中川流域下水道は汚水と雨水を分けるシステムがあるものの、雨の影響で下水道管に流れる水量が増加する懸念があり、県は下水の使用自粛が呼びかけられている12市町について、引き続きの節水を呼びかけている。

 大野元裕知事は「協力によって、下水についてはコントロールできている。風呂や洗濯の回数を工夫したり、雨や雪が降っている時間帯は利用を控えるようにしてほしい」とした。

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