埼玉新聞

 

道路陥没…運転席部分の真上から救助する可能性も 地上から穴を掘って接近、救助隊が下水の激流に巻き込まれない方法 マンホールから500メートルほど離れ、硫化水素も充満…隊員の空気ボンベは40分が限界

  • 下水道管の内部を調べるために使用されたドローン=5日午後4時40分ごろ、八潮市二丁目

    下水道管の内部を調べるために使用されたドローン=5日午後4時40分ごろ、八潮市二丁目

  • 下水道管の内部を調べるために使用されたドローン=5日午後4時40分ごろ、八潮市二丁目
  • 道路陥没地点から半径200メートルの赤円内が警戒区域(八潮市役所HPから)
  • 道路地中の空洞を調査する特殊車両=八潮市

 八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、県は7日、崩落の危険があることから不明になっている男性運転手(74)の救出、復旧に向けた作業の障害となっていたコンクリート製農業用排水路の撤去を開始した。撤去には作業の振動などによる危険が伴うため、地盤改良が完了するまでの間、八潮市の避難勧告に代わり、県が施工者として付近の14軒に週単位での退避を要請し、滞在先としてホテルを手配した。

■男性救助に課題山積

 運転席部分のようなものが見つかり進展したとみられた救助活動。実際に救助を実行するには課題が山積している。元深谷市消防長で危機管理防災アドバイザーの田中章さん(65)は、消防隊員が下水管内で活動できる時間が限られているとして「運転席部分が見つかった直近に地上から穴を掘る必要が出てくる可能性もある」と指摘した。

 田中さんによると、救助の妨げとなっているのは下水管内の水と管内に充満した硫化水素。陥没した穴の直下には土砂などで閉塞(へいそく)した状態で、下水などの水がせき止められ、逆流している。「せき止められていた土砂が崩れ、激流に隊員が直面することも考えられる」として、現在進められている水位を下げるバイパス整備などで、管内の水位を減少させないと作業が困難とした。

 運転席部分に男性が取り残されていた場合は「隊員がバールなどの資機材を使って運転席をこじ開ける方法がセオリー」という。硫化水素への対策で空気ボンベを背負って行われるとして、「一般的なボンベは30~40分が活動の限界。救助して地上に戻ることを考慮すると時間は限られている」と懸念した。

 マンホールから運転席部分は400~500メートルほど離れており、運転席部分の真上に当たる地上から穴を掘った方が活動時間を長くできるという。「穴の掘削は2~3日を要する。救助環境が整うにはまだ時間がかかるが、救助隊の安全を保たれないと計画は進められない」と話した。
 

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