埼玉新聞

 

道路陥没…断水の恐れもありウオータータンクの需要が5倍以上に 食器洗いの必要ない紙皿は10倍以上 ロヂャース、島忠ホームズなど用意 ガス停止時はカセットボンベの売れ行きも増加

  • 紙皿や割り箸などの商品を集めた特設コーナー=6日、八潮市大曽根の島忠ホームズ八潮店

    紙皿や割り箸などの商品を集めた特設コーナー=6日、八潮市大曽根の島忠ホームズ八潮店

  • 紙皿や割り箸などの商品を集めた特設コーナー=6日、八潮市大曽根の島忠ホームズ八潮店

 八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、破損した下水道管に流れ込む汚水を抑制するため、県東部の流域12市町の約120万人を対象に節水への協力が求められている。八潮市内のホームセンターなどでは、節水を手助けするさまざまなグッズの需要が急増。市民もトラック運転手の救出とインフラの復旧を願い、排水を少しでも減らそうと日々の生活で工夫を凝らしている。

 県は、洗濯機の使用回数を減らす、風呂の残り湯を活用する、水道をこまめに止めるなどの取り組みを呼びかけている。4日午後2時~同5時には、さらに強い「可能な限りの節水」を要請し、八潮市では夏場の節水と同等の効果を得られた。

 市内のホームセンター「島忠ホームズ八潮店」では、節水が呼びかけられた翌日の1月29日から、店舗出入り口付近の目立つ場所に、紙皿や紙コップ、非常用トイレ、制汗スプレー、洗髪シートなど30種類の商品を集めた特設コーナーを設置。災害時などに使われるペット用シーツを活用した簡易トイレの作り方の案内も掲示した。

 特に需要が多いのが、食器洗いの必要がなく使い捨てできる紙皿で、前年同期比で10倍以上に上っている。事故によるインフラへの影響で断水の恐れもあったため、非常用の水を大量に保管できるウオータータンクなどの商品も5倍以上になった。

 市内在住の従業員も多いことから日常生活で必要なものを聞き取って売り場に反映し、足りない商品は他店舗からかき集め、不足品がないよう心がけている。担当者は「いざという時に役立つ物を常に用意しておくのが、ホームセンターの役割。これからも地域の生活を支えていきたい」と話す。

 市内のディスカウントストア「ロヂャース八潮店」でも1月28日以降、紙皿や割り箸などがよく出ているという。ガスが一時停止した際にはカセットボンベの売れ行きも増加。ペットボトル入りの水を購入する客も多く、分かりやすい場所に非常用品の売り場を配置している。

 市民も節水に協力している。現場近くに夫、1歳の娘と3人で暮らす女性会社員(27)は、毎日していた洗濯を週2回に減らしているほか、東京都足立区の実家にも依頼。洗い物を減らすため食事はなるべく食器を使わず、フライパンや鍋で調理した料理を取り分けずに食べている。

 風呂は3日に2回。下水道使用が制限されている自治体の住民向けに、さまざま入浴支援が行われているが、子どものおむつがまだ外れておらず、迷惑をかけないよう利用を控えている。女性は「我慢しないといけないこともあるけど、今は一日も早く転落したトラックの運転手を見つけてほしい」と話した。
 

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