埼玉新聞

 

ヤオコー純利益4%増益 厳しい環境も、さいたまなど大都市中心に出店継続へ 総菜人気、季節商材も開発

  • ヤオコー、純利益4%増益 23年3月期

 スーパー大手のヤオコー(川越市)は10日、2023年3月期の連結純利益が前期比4・0%増の160億円になる見通しと発表した。原材料費や電気代の上昇、円安など厳しい市場環境だが、人工知能(AI)自動発注システムの拡大によるコスト圧縮を進めるほか、さいたま市内など大都市を中心に出店も継続する。

 売上高に当たる営業収益は1・9%増の5460億円になる見通しとした。子育て世帯ら若年層の囲い込みへ、商品開発や価格対応を進める。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で堅調な総菜部門で、加工済み仕入れから産地直送の自前加工調理への転換を推進。品質向上による販売増と、調達費の圧縮の効果を狙う。取引先と連携し女性や若年層向けの季節商材の開発、早期投入も目指す。

 営業利益は5・9%増の255億円の見通し。一定の効果があった需要予測型のAI自動発注システムを今期中に全店に拡大。発注精度の向上、在庫の適正化と補充作業の軽減、値下げの抑制、発注時間減少の効果につなげる。人員不足対応にも生かす。

 ウクライナなど国際情勢を背景に原材料費の高騰、円安など市場環境は厳しく、食品メーカーの値上げも相次ぐ。都内で記者会見した川野澄人社長は「(値上げの)商品数、上げ幅もこれまでと状況が違う。価格抑制の努力はするが、値上げに対して応える対応を進めている」と述べた。

 同日発表した22年3月期の連結決算は営業収益が前期比5・5%増の5360億2500万円、純利益が5・4%増の153億8200万円だった。新型コロナ禍の巣ごもり需要の継続で、採算の良い総菜の販売が伸びた。

ツイート シェア シェア