道路陥没…発生2週間 長引く節水、通行止め 住民「この生活は精神的に疲れる」 救助への障壁多く、明確な方針を示せず
八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故は、11日で発生から2週間を迎える。事故現場周辺の住民らはトラック運転手の一刻も早い救助を願いつつ、長引く節水の協力や交通止めに疲れを見せ始めている。
事故は1月28日午前に発生。陥没してできた穴は事故当初から拡大し、消防の調べでは幅約40メートル、深さ最大15メートルにまで広がった。県のドローンによる調査によると、運転席部分とみられるものは、陥没箇所から約100~200メートル離れた下水管の中で発見された。ただ、汚水などの水位が安定せず、管の中に充満する硫化水素や堆積した土砂など、救助の妨げになる障壁が多く、消防などは救助への明確な方針を示せない状況だ。
発生2週間を前にした9日、八潮消防署の佐藤徹司署長は報道陣の取材に「多くの市民の皆さんに大変不自由、不便をおかけしている。要救助者の方も想像以上に長い時間、見つけられず、心苦しい。迅速、安全、確実な作業を一丸となって進めているので、どうかわれわれの活動を見守ってほしい」と呼びかけた。
現場から約250メートルの距離に住む男性会社員(60)は「事故発生日から風呂の湯を張るのをやめてシャワーで済ませている。風邪をひかないように気を付けないと」。交通規制が続く県道について、「迂回(うかい)できるのでそれほど不便は感じていないが、よく通る道なので自分が被害に遭っていたかもしれない。(救助は)もっと早く何とかならなかったのかな」と話した。
「洗濯は1日置きにしている。家族が多いから大変」。現場から約150メートルの場所に住む女性(74)はため息をつく。無料開放の入浴施設を利用することがあり、「孫は気に入ったようで『おばあちゃん銭湯に行こうよ』と誘ってくる」と小さな笑顔を浮かべたが、「(施設に)ちょっと気を遣ってしまう。この生活は精神的に疲れる」とこぼした。
八潮市役所近くの弁当店「ほっかほっか大将」の男性店員(38)は「現場近くの会社からは配達の依頼がしばらくない」と得意先の状況を案じ、「至る所が通行止めで、弁当の配達に迂回して時間がかかってしまうと、人手不足の中で負担が大きい。できるだけ節水を心がけており、考えなければならないことが増えたと感じる」と影響の大きさを語る。「大変は大変だけど、まずは被害者が早く見つかってほしい」と強調し、「ただ早く復旧するのではなく、工事や点検をきっちりやって二度とこういう事故が起きないようにしてほしい」と願った。