埼玉新聞

 

義母の遺体、床下に…長男と長女が発見 ビニールひもで殺害した長男の妻に懲役7年、義母に要求され渡していた金銭は773万円 次女や孫など6人暮らし「状況に無関心だった夫らの助けは期待できず」

  • 遺体が見つかったアパート=28日午後3時10分ごろ、埼玉県さいたま市緑区馬場

    遺体が見つかったアパート=2023年4月28日午後3時10分ごろ、埼玉県さいたま市緑区馬場

  • 遺体が見つかったアパート=28日午後3時10分ごろ、埼玉県さいたま市緑区馬場
  • 【地図】さいたま市緑区

 さいたま市の住宅から女性の遺体が発見された事件で、同居の義母を殺害したとして殺人や死体遺棄の罪に問われた無職渡辺美智子被告(55)の裁判員裁判の判決公判が12日、さいたま地裁で開かれ、江見健一裁判長は懲役7年(求刑・懲役10年)を言い渡した。

 江見裁判長は判決理由で、渡辺被告が実母から得た773万円などの金銭を義母が要求したと認定し、「要求が終わる見通しがない状況に絶望した心情は理解できる」と説明。さらに細かな家事を指示され、軽んじられる立場にあったことも認めたものの、渡辺被告が不快と捉えていなかった旨を公判で述べていることから、「酌むべき事情として考慮できない」とした。

 また、「殺害しなければならない状況に追い込まれていたとは言い難い」とし、遺体の遺棄については「生命を奪った重大性を直視していないことや、被害者への配慮のなさの表れ」と結論付けた。

 弁護側は、渡辺被告が義母の言動が原因でうつ病の症状を患い、状況に無関心だった夫らの助けは期待できなかったと主張。執行猶予付きの判決を求めていた。

 判決によると、渡辺被告は2023年4月22日、さいたま市の自宅で義母の渡辺克子さん=当時(68)=の首をビニールひもで絞めて窒息死させ、遺体を床下に遺棄した。

■ネコのトイレ回数まで報告…「事件以外の方法で義母から逃れられず」(以下、初公判記事)

 さいたま市緑区の住宅の床下から女性の遺体が見つかった事件で、同居する義母の首を絞めて殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職女(55)の裁判員裁判の初公判が1月29日、さいたま地裁(江見健一裁判長)で開かれた。女は起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、女が義母=当時(68)=との間で家事や金銭を巡るトラブルを抱え、2023年4月22日、義母の首をビニールひもで絞めて殺害し、遺体を床下に隠したと説明。「犯行は悪質で、殺人を正当化できる理由はない」と指摘した。

 弁護側は女が義母から「午前5時までに起床し、家族が家を出た時間からネコのトイレの回数まで報告を指示されるなど、召使いのように扱われた」と主張。さらに、実母にうそをついて送金させた現金や介護施設勤務で得た給料を義母に渡すよう求められるなど、金銭の要求や嫌がらせによりうつ病を発症していたとし、「事件以外の方法では義母から逃れられなかった」と、執行猶予付きの判決を求めた。

 起訴状などによると、女は23年4月22日、さいたま市緑区の自宅で義母の首をビニールひもで絞め付けて窒息死させ、遺体を隠して遺棄したとされる。

■食事した形跡…生きているかのように装ったか(以下、再逮捕記事)

 2023年4月、さいたま市緑区のアパート床下に同居する義母の遺体を放置したとして、住民の無職の女(53)が逮捕された事件で、県警浦和東署特別捜査班は5月19日、殺人の疑いで、女を再逮捕した。殺害した詳しい経緯を捜査している。

 再逮捕容疑は、4月22日ごろ、自宅で義母=当時(68)=の頚部(けいぶ)をいずれかの方法で圧迫して窒息させ、殺害した疑い。調べに対して「義母の首を絞めて殺しました」と容疑を認めているという。県警は同月29日に死体遺棄の疑いで女を逮捕。容疑者の供述、遺体や現場の状況などから殺害行為を特定した。

 捜査1課によると、義母の最終生存は4月22日午前8時ごろで同日午前中に殺害された可能性が高いという。その後、遺体が床下に遺棄され、同居家族に6日間発見されなかったが、女が家族に対して、義母が体調不良で寝ている旨の説明をしたり食事していた形跡を残すなど、生きているかのように装っていたとみられる。

 4月28日午前、義母の40代長女が母親の姿が寝室になかったことを不審に思い、40代長男と共に居宅内を探したところ、長男が1階台所の床下にある点検口に遺棄された遺体を見つけ、同10時ごろ長女が「母が死んでいる」と110番した。住宅には他に義母の30代次女と20代男孫の計6人が暮らしていた。

 女は動機に関して「義母から、私がお金を隠し持っているなどと毎日追及され、頭にきてしまった」と供述しているという。県警は義母との金銭トラブルの有無も含め、慎重に調べを進めている。

■家族間トラブルの相談なし(以下、逮捕記事)

 さいたま市緑区のアパート床下から無職女性(68)の遺体が見つかった事件で、県警は2023年4月29日、死体遺棄の疑いで、住民の無職の女(53)を逮捕した。女性は女の義理の母親だという。

 同日、浦和東署に40人態勢の特別捜査班を設置。遺体は死後数日が経過しているとみられ、遺棄した動機や経緯を明らかにするとともに、殺人容疑での立件も視野に捜査を進める。

 逮捕容疑は、4月22日ごろから同月28日午前9時55分ごろの間、アパートの1階の床下に女性の遺体を遺棄した疑い。調べに対し、「自宅の床下に死体を隠した」と容疑を認めているという。

 捜査1課によると、28日午前9時55分ごろ、女性の長女(46)が、母親の姿が寝室になかったことを不審に思い、40代長男と共に居宅内を捜したところ、長男が1階台所の床下にある点検口に遺棄された遺体を発見。同9時58分に、長女が「母が死んでいる」と110番した。

 女性は衣服を身に着けた状態で横たわっていたという。女性は22日午前に生存が確認されていて、死亡後、発見までに数日経過していたとみられる。家族に事情聴取する過程で女が浮上し、取り調べで自供。現場の状況などから関与を特定した。

 女は長男の妻で、住宅には他に女性の30代次女と20代男孫の計6人が暮らしていた。これまでに県警に家族間でのトラブルの相談などはなかったという。

 県警は遺体を司法解剖して死因の特定を進める。

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