道路陥没…住民の避難要請を解除 地盤改良が完了 今後は下水を迂回させる工事と運転席部分への掘削を進める 知事は国に財政支援を要望
八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、県は19日、災害対策本部会議を開き、現場付近の地盤改良工事が完了したとして、周辺住民47人に出していた避難要請を同日午前9時に解除した。今後は下水を迂回(うかい)させる仮排水管設備のバイパス工事とともに、トラックの運転席部分に向けた掘削を進める。大野元裕知事は同日、国に災害救助法の適用に伴う財政支援を要望した。
県は災害救助法を適用し、避難住民の宿泊代などの支援を続けてきたが、陥没地点の周囲にセメントと水を混ぜた混合液を地中に噴射するなどの工法で周囲の地盤改良を行い、工事が完了したため避難要請を解除した。
北田健夫下水道事業管理者は「現状の下水道管からの噴出、流れ込みの状況に対しては安定的に対応できる。周辺に関しては、これから工事を進めるに当たって相談させていただくことが出てくる」と話した。
県は、住民(交通規制範囲の138世帯)を対象とした工事説明会を22日午後2時から八潮メセナで開催する予定。19日午前に開かれた災害対策本部会議で大野知事は「工事を一刻も早く完了させると同時に、消防などが検討している救助の方法が確立する場合には、そのための環境を可能な限り迅速に整備していただきたい」と述べた。
春日部中継ポンプ場から新方川を経由して中川へ行っている下水の放流について北田下水道事業管理者は、「放流ルートに農業用水路を使わせていただいている。農業用水路としての機能を発揮する時期までに検討しなければいけない」と早期の終了を目指す方針を示した。
大野知事は19日午後、東国幹財務政務官と坂井学内閣府特命担当大臣にそれぞれ要望書を手渡し、災害救助法の適用に伴う災害救助費負担金などの財政支援を求めた。大野知事は取材に「(現行法は)事故から災害に移行することを想定していない。不備なのか、今のままでできるのか、教訓にして共有していただきたい」と話した。