埼玉新聞

 

娘が刺される…全治2カ月となった2歳 哀れに思って刺すのをやめた母、法廷で認める 義母、夫、娘と4人暮らし 義母にいつも叱責される母、夫から殴られる日々…弁護士「土下座を強要され、茶わんを投げられていた」

  • 【地図】さいたま市見沼区

    刃物で2歳長女が刺される事件発生=さいたま市見沼区

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 2023年8月、さいたま市見沼区内の自宅で、娘の首や胸を刃物で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた、同市の会社員女(33)の裁判員裁判の初公判が20日、さいたま地裁(室橋雅仁裁判長)で開かれた。被告は「間違いはない」と起訴内容を認めた一方で、「首を突き刺したというのが適切か分からない」とした。

 被害者の氏名や住所特定の恐れがあるため、裁判は被告人名を明かさず行われた。冒頭陳述などで検察側は、被告が2世帯住宅で義母と夫、娘の4人暮らしだったとして、義母からは頻繁に叱責(しっせき)を受け、夫からは暴力や暴言を受けていたと説明。犯行の最中で娘を哀れに思い、中止したとした。

 弁護側は動機について、義母から理不尽な非難を浴びて、茶わんを投げ付けられたり、土下座を強要されたことや、夫からも顔面を殴られたり罵倒され、自分が無価値だと思うようになったと指摘。自殺を試みたが失敗し、娘を殺せば刑務所に入ることができると思い立ち、犯行に及んだとした。

 起訴状などによると、23年8月12日、自宅で長女=当時(2)=の胸部を包丁で1回突き刺し、頸部(けいぶ)を複数回突き刺して殺害しようとしたとされる。長女は全治2カ月の心膜損傷などの傷害を負った。

■浴室から子どもの泣き声(以下、送検時の記事)

 娘を刃物で刺して殺害しようとしたとして、埼玉県警大宮東署は2023年8月14日までに、殺人未遂の疑いで、さいたま市見沼区、会社員の女(31)を現行犯逮捕し、さいたま地検に送検した。

 逮捕、送検容疑は12日午後1時8分ごろ、居宅内で長女(2)の胸など上半身を包丁で刺すなどして殺害しようとした疑い。長女は病院に搬送されたが、命に別条はないという。

 同署によると、女は長女、夫、義母との4人暮らし。浴室から子どもの泣き声が聞こえたため、別の部屋で寝ていた夫(38)が駆け付けたところ、女と血を流した長女を発見。夫が「妻が子どもを包丁で刺した」と通報した。

 女は「子どもを刺したことは間違いない」と容疑を認め、「夫や義母、自分の両親との関係に悩んでいた」と供述しているという。

 これまでに警察に虐待などに関する通報や相談はなかったという。同署で動機や経緯などについて詳しく調べる。

■午後1時過ぎの自宅で悲劇(以下、初報記事)

 刃物で娘を刺して殺害しようとしたとして、埼玉県警大宮東署は2023年8月12日、殺人未遂容疑でさいたま市見沼区、会社員の母親(31)を現行犯逮捕した。

 県警によると、母親は同日午後1時8分ごろ、自宅で長女(2)の上半身を刃物で刺すなどして殺害しようとし、全治不詳の傷害を与えた疑いが持たれている。長女は病院に搬送されたが、命に別状はないという。
 

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